老後「年金5万円だけ」で生活が厳しく“生活保護”を受けようと思っています。年金と合わせて「いくら受け取れる」でしょうか?“生活保護で受給できる額”を試算
生活保護を受給している世帯はどれくらい?
厚生労働省の「被保護者調査(令和8年4月分概数)」によると、生活保護を受けている世帯は、保護停止中を含めて164万980世帯です。2024年6月6日時点での全国の世帯総数は、5482万5000世帯であるため、総世帯の約3%が生活保護を受給していることになります。
世帯の類型別および割合は、図表1の通りです。なお、この類型別の内訳には保護停止中は含まれていません。
図表1
厚生労働省 被保護者調査(令和8年4月分概数)より作成
これを見ると、生活保護を受給している世帯のうち、高齢者世帯が半分を占めていることが分かります。また、高齢者世帯のなかでも圧倒的に単身世帯が多くなっています。
年金と生活保護を併給できる?
生活保護制度は、資産や能力を活用しても生活が苦しい人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助けるものです。
支給される保護費は、厚生労働大臣が定めた基準で計算した最低生活費と収入を比較し、収入が最低生活費に満たないとき、最低生活費から収入を差し引いた金額が保護費として支給されます。
この収入には、労働による収入だけでなく、年金や児童扶養手当、親族による援助なども含まれます。保護費は、暮らしていく上で必要な費用に対して支給され、地域や世帯の状況によっても異なります。具体的な内容は、図表2の通りです。
図表2
厚生労働省 生活保護制度より作成
図表2以外にも、妊産婦や障害者などがいる世帯には加算が行われます。
年金5万円なら生活保護はいくら?
年金を受け取っていても最低生活費に達していなければ、差額分を保護費として受け取ることができます。東京都三鷹市に住む66歳(単身世帯)の場合を例に挙げて、いくら保護費を受け取れるのかシミュレーションしてみましょう。
前記のように、地域によって金額が違うため、まずは級地区分を確認します。今回のケースでは1級地-1となります。厚生労働省の「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年4月)」によると、保護費の種類別にみた金額は次の通りです。
・生活扶助基準(第1類):4万6460円
・生活扶助基準(第2類):2万7790円
・特例加算:1500円
・生活扶助本体における経過的加算:1130円
・住宅扶助:5万3700円
まず、生活扶助基準額の合計を求めてみましょう。各世帯員の第1類基準額を合計し、世帯人員に応じた逓減率を乗じて、世帯人員に応じた第2類基準額を合計します。今回は単身世帯のため、逓減率は1.0です。
4万6460円×1.0+2万7790円=7万4250円
7万4250円+1500円+1130円=7万6880円
生活扶助と住宅扶助を合わせると、次の金額になります。
7万6880円+5万3700円=13万580円
また、11月から3月の冬の時期は、光熱費などが増えることから冬季加算(2630円)が行われます。なお、冬季加算は地域により支給される期間や金額が異なります。
ほかにも、12月には世帯人数に応じた期末一時扶助が加算されます。住宅扶助は、単身世帯は床面積別に上限額が設けられており、15平方メートル以下の場合に減額されます。
計算すると、最低生活費は13万580円となりました。年金も収入とみなされるため、年金5万円を差し引いた8万580円が支給されます。
生活保護では年金も収入とみなされる
これまで見てきたように、生活保護では年金も収入もみなされるため、最低生活費から年金を差し引いた分が支給されます。年金に上乗せされるわけではない点に注意しましょう。
また、最低生活費は住んでいる地域によっても異なるため、級地区分を確認しましょう。利用できる制度をうまく活用することが大切です。
出典
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和8年4月分概数)の結果を公表します
厚生労働省 2024年(令和6年) 国民生活基礎調査の概況 世帯数と世帯人員の状況
東京都福祉局 2025社会福祉の手引き 6 生活保護
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

