YouTubeチャンネル「守鍬 刈雄のお暇なら映画でも」が、「【#映画ちいかわ 人魚の島のひみつ】悪人がいないのになぜ悲劇は起きたのか。心理的利己主義と倫理的利他主義 そして今日の日はさようならの意味(新作映画レビュー&独自解説)」と題した動画を公開した。映画独自解説家の守鍬刈雄が、映画「ちいかわ 人魚の島のひみつ」を「サイコホラー」と評し、登場人物たちの善意が悲劇を引き起こす哲学的な構造を読み解いている。

守鍬は本作について、マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」に匹敵する哲学的な物語であると指摘。島を襲うセイレーンとそれに立ち向かう構図に見えるが、真の焦点は「誰が悪かったのか」ではなく「善意はどのようにして悲劇へと変わったのか」にあると考察する。

動画内では、セイレーン、ヒトハ、フタバ、ちいかわの4人を容疑者として分析。事故でフタバを失ったヒトハが、永遠の命を得る伝説を信じて人魚を犠牲にした過程を解説する。生き返ったフタバもまた、事実を隠蔽するためにヒトハへ人魚を食べさせ、2人は沈黙を貫く。さらに、ちいかわがその事実を知りながらも何も言えなかった行動に注目した。

守鍬は、心理学や倫理学の視点から「心理的利己主義」と「倫理的利他主義」を引き合いに出す。登場人物の誰もが「誰かを愛し、守ろうとして」行動した結果、自己の苦しみを回避するための利己的な選択に至ったと説明。「本作には悪人が存在しない。善人も存在しない」と、善意同士が衝突することで生まれた悲劇の残酷さを浮き彫りにした。

最後に、ちいかわを「決断できない主人公」と表現し、知ってしまった事実に対して沈黙を選ばざるを得なかった人間のリアルな心理を高く評価。単なる可愛らしいキャラクター映画の枠を超え、大人が深く考えさせられる傑作であると結論付けた。