米サウジ原子力協定は「アブラハム合意」参加が条件、トランプ氏が方針修正か…イスラエル首相は歓迎
【ワシントン=阿部真司、エルサレム=福島利之】米国とサウジアラビアによる原子力協定を巡り、トランプ米大統領は23日、サウジがイスラエルとアラブ・イスラム諸国の国交正常化の枠組み「アブラハム合意」に参加することを条件とする考えを表明した。
協定への批判や撤回要請を受け、方針を修正した可能性がある。
米国のキャロライン・レビット大統領報道官は23日の記者会見で、サウジがイスラエルとの国交を正常化することが協定の条件だと強調した。協定締結を発表した際、政権がこの条件に言及しなかった理由について問われ「最後に合意をまとめるのは大統領だ。これからも協議を継続する」と釈明した。
米エネルギー省は22日の発表で「歴史的な原子力協定」とアピールしていた。ところがトランプ氏は23日、SNSで自身が第1次政権時に仲介したアブラハム合意を持ち出し、「サウジがアブラハム合意に加盟することが条件だ」と主張した。
サウジはパレスチナ国家の樹立を支持しており、現状でのアブラハム合意への参加には慎重な姿勢だ。トランプ氏の投稿は、サウジにとって受け入れ困難な要求を突き付けることで前日の発表を打ち消したものとみる向きが多い。米紙ワシントン・ポストは「めまぐるしい政策転換」と評した。
協定はサウジに自国内でのウラン濃縮を容認する内容とされ、核拡散リスクを高めるとの批判が相次いでいた。米国がサウジにウラン濃縮を認めれば、将来的な核兵器開発につながりかねない。イスラエルの政府高官らは協定の発表直後から、「安全保障の脅威になる」と懸念を示した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、野党党首らは「重大な戦略的失敗だ」との批判を繰り広げた。
右派の地元紙ハヨウム(24日付)によると、ネタニヤフ氏は米サウジの協定締結発表後、トランプ氏らと何度も電話会談し、アブラハム合意の参加を協定の条件とする修正版の声明を出すよう求めたという。トランプ氏の投稿直後、ネタニヤフ氏はそれまでの沈黙を破り、「サウジがアブラハム合意に加わることは中東和平で歴史的な飛躍となるだろう」と、歓迎する声明を出した。

