追悼の花束と「ICE出ていけ」の文字(C)ロイター

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【トランプ2.0 現地リポート】

サッカーW杯で露呈した「強いアメリカ」の綻び…トランプ大統領が介入しても米国代表は敗北

 相次いだ連邦移民・税関捜査局(ICE)職員による2件の射殺事件が全米に衝撃を与えている。

 殺された2人の男性は、いずれも本来の標的ではなかった。追跡の過程で、別人が射殺されたのである。

 これをきっかけに噴出したのが、強引な移民摘発への怒りと、データ解析企業パランティア・テクノロジーズによる移民情報の統合・追跡システムへの疑念だ。

 7月7日、テキサス州ヒューストンで射殺されたロレンソ・サルガド=アラウホさん(52)は、35年間アメリカで建設業に従事し、3人の子供を育てた。犯罪歴もなく、家族によれば、間もなく正式な滞在許可を得る予定だったという。13日にメイン州ビデフォードで殺されたジョーン・セバスチャン・ゲレロさん(26)は、就労許可証を持ち、合法的に働いていた。

 テキサスでは、ICE職員が標的とみた車両を停止させようとした。しかしICEの「車で職員を轢こうとしたから発砲した」との説明は、複数の同乗者の証言と食い違っている。

 メインでは、職員が監視先の住所から出てきた車を止めようとし、「逃走によって公衆に危険が及ぶと判断して撃った」と説明している。ところが家族によれば、負傷したゲレロさんは「止まろうとしていた」と言い残したという。

 移民摘発を最優先課題として掲げるトランプ政権下で、議会は合計2400億ドル(約38兆円)の予算を認め、職員増員や拘束施設の拡充を進めてきた。6月末には、ICEが5日間で約1万人を逮捕したと報じられた。

中間選挙に向けシステム強化、誤射の検証は後手

 一方、パランティアの移民情報管理・位置情報システムにより、対象者がいる可能性の高い場所を絞り込めるようになった。

 今回の事件で同システムが使われたかは明らかではない。情報の誤りか、職員の誤認か、摘発件数を増やす圧力や訓練不足の影響かどうかもわかっていない。

 さらに問題視されているのが、職員がボディーカメラを装着していなかったことだ。ICEにはボディーカメラの運用方針があるが、装備は全職員に行き渡っていない。移民を探し出す能力だけが急速に強化される一方、誤認や発砲を検証し、責任を問う仕組みが追いついていない。

 トランプ大統領の支持率が低迷する中、移民摘発は中間選挙に向けて共和党支持層を動員する最も有効な手段だ。取り締まりは、今後さらに激化する可能性が高い。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)