《LINE送付の“ガン写真”に…》「ずる賢い最上あいが…」佐藤愛里さん(22)に金を貸し続けた高野健一被告が書いていた“遺書”の内容【高田馬場刺殺・公判】
東京都新宿区の路上で2025年3月、ライブ配信をしていた佐藤愛里さん(当時22)を刺殺したとして、殺人罪などで起訴されている高野健一被告(44)。その裁判員裁判が東京地裁(井戸俊一裁判長)で7月1日より開かれている。7月10日には結審し、検察側が懲役20年を求刑。弁護側は懲役9年が相当であると主張している。
起訴状によると、犯行は3月11日の朝9時50分ごろ、JR高田馬場駅近くの路上で起きた。「最上あい」という名義でライブ配信中だったため凶行も配信され、当時事件は大きな衝撃を与えた。
【写真を見る】佐藤さんがメッタ刺しにされた高田馬場駅付近の現場。佐藤さんの着物姿の私服写真(友人提供)
7月3日の被告人質問で語られたのは、佐藤さんへの貸付が膨らんでいった経緯だ。配信者だった佐藤さんに好意を持ち、通話したりキャバクラ店に通ったりした高野被告は、佐藤さんの求めるままにお金を貸し始めたようだ--。【全3回の第2回。第1回から読む】
「強制的に高いシャンパン頼まされた」
2022年8月、佐藤さんの勤務する山形県内のキャバクラ店に行き、初めて対面した高野被告。翌9月以降、佐藤さんからたびたび「お金を貸して欲しい」と頼まれるようになる。
佐藤さんは常に「お金に困っている」と高野被告に伝えていた。配信アプリ「ふわっち」では最高ランクであるプラチナランクの配信者だったが、「ポイントが失効しててお金を引き出せていない」などと説明されたという。
また、佐藤さんは家族との不和も明かしていたようだ。母親は「家にお金を入れないなら出て行け」と言ったり、実家に一緒に住んでいた姉の彼氏との関係で「姉が嫉妬するから」などといった理由で実家を出て、「1人でネカフェ生活を送っている」などとも明かされたという。
初めてお金を貸したのは、初めてキャバクラに行った後だった。「昼のバイト先に財布を忘れた」と理由で、数日で返すという約束のもと、4万円を振り込んだ。
その後、連日のようにお金を振り込むように要求される。高野被告によると、「キャバクラで偉い人の誕生日があり、強制的に高いシャンパン頼まされた。断ったら、店を辞められなくなる」「姉が売掛してて、給料2か月前借してどこかに消えた。姉の分も払わないといけない」などという理由で、お金の振り込みを頼まれたという。
高野被告は仕事をしていなかったので、「貯金を切り崩している」と佐藤さんに伝えた上でお金を貸していたという。「実家の家計も支えているのに(なぜ自分が姉の借金を払わないといけないのか)」と嘆く佐藤さんに同情することもあり、高野被告は消費者金融にお金を借りてまで振り込み続けた。
「ガンになってるじゃん」
11月には、佐藤さんから体調不良を示す画像が送られてきたという。以下は読み上げられた2人のLINEの内容の要旨である。
佐藤さん「ねぇお願い、愛里の名前でお金借りたいの」
高野被告「俺が借りて愛里が保証人ってこと?」
佐藤さん「家契約したりしてやり直したい。吐血とかしてヤバい」
高野被告「それヤバい」
佐藤さん「(画像を送信)」
高野被告「ガンになってるじゃん」
佐藤さん「やり直したくて」
高野被告「でも仕事してないから難しいかも」
(中略)
佐藤さん「在籍確認あっても適当に言って」
高野被告「返済できる?」
佐藤さん「うん。割とガチでお願いしてんだよね」
高野被告「わかってるよ。愛里が入院したりしたら、返せるか心配」
結局、高野被告は消費者金融から2度、50万円を借りたという。佐藤さんとは毎月3万円ずつ返済するという約束だったというが、2023年1月に3万円が返されて以降、返済はなかった。
自分で収入を得る努力もしたという。キャバクラで初めて佐藤さんに会ってからは、就労継続支援A型事業所の体験や障がい者雇用の面接を受け、2023年4月からは実際に働いていた。
婚約者を名乗る男性との通話
2024年1月には、佐藤さんからSNSのDMで「話がしたい」と連絡があり、通話に出ると、佐藤さんの婚約者を名乗る男性に代わったという。佐藤さんが配信を再開したいこと、借金の話をSNSに投稿しないようにしてほしい旨などが話し合われた。高野被告は返済を求めたが、うまくいかなかった。それどころか、「借金の話をSNSに投稿したら300万円請求する」とまで言われたという。
その後、配信を続けていた佐藤さんに、高野被告は恨みを募らせていたわけではないという。「騙された、悲しい、この先不安だ」という思いが強くなり、一時は遺書の準備をした。その下書きには次のように記されていたと弁護人が明かした。
「私の人生これで終わろうと思う。このままずる賢い最上あい、〇〇(婚約者の名前)のやりたい放題が続かないことを願う」
それでも自殺を決行せずにいたなかで、ふと佐藤さんの「山手線一周配信ライブ」の企画を目にしたという--第3回記事では、殺害に至った際の心境について高野被告が語った内容について詳報する。
(第3回記事につづく)
傍聴取材/普通(裁判ライター)
