事件後、現場付近には黒ずんだ血痕のようなものがあった 
2025年3月14日/筆者撮影

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「高野いないと生きてけない」「オレも愛里なしじゃ生けてけない」--。
 一見、他愛もない会話に思えるが、その二人は大金で結ばれた“歪な関係”だった。昨年3月、東京・高田馬場の路上で動画配信中だった佐藤愛里さん(当時22歳)を刺殺したとして殺人などの罪に問われた高野健一被告(44)の裁判裁判が、東京地裁(井戸俊一裁判長)で開かれている。

◆民事裁判の訴訟記録に残されていた“LINEのやりとり”

 この刑事裁判で、佐藤さんは高野被告に多額の借金を抱えており、両者間で“裁判沙汰”になっていたことが明らかになっている。筆者はこの貸金返還請求の民事裁判の訴訟記録を閲覧。刑事裁判でも朗読された、金銭を無心する“生々しいLINE”が証拠提出されていた--。

 2023年8月1日、高野被告は原告となって、被告の佐藤さんに対して、未払いの貸金の返還を求めて宇都宮地裁栃木支部(大野健太郎裁判官)に提訴していた。

 高野被告側が提出した訴状には、貸金返還請求に踏み切った経緯が記載されていた。

「被告は、(略)原告に対して、財布を忘れた、生活費が足りない、家出していてアパートを借りる費用がない、体調が悪く働けないなどとして、すぐに返済する旨述べて金銭の借用を申し入れてきた」

 訴状によると、貸付は13回にわたって、合計254万4800円にのぼる。一度、佐藤さんは高野被告の要求に応じて3万円を返済したが、その後音信不通になってしまった--。

◆初対面から約1か月で始まった終わりなき借金のやり取り

 高野被告側は貸金の存在を明らかにするため、甲15号証と甲16号証を提出。その書証は、今回の刑事裁判でも法廷で読み上げられた、両者間の歪な関係を露わにした“生々しいLINE”だった。

 民事裁判には、LINEアプリのスクリーンショットが書面化されており、4日間ほどで全38ページ。少なくとも500回も送受信されていた。佐藤さんは、高野被告と初対面を果たしてから1か月ほどが経過したころのことだ。

【甲15号証 2022年9月8日午後7時頃】

<申し訳ないんだけどさ、昨日日雇いバイト行った先に財布忘れちゃってまじ手持ちない状態だからちょいお金貸してほしいんよね。明日か明後日取りにいくときに返すから(土下座の絵文字)>(佐藤さん・以下同)

=略=

<数万いける?明日も取りに行けるのかくじつじゃないよ(涙を一つ出す顔文字)>

=略=

<4万でいいかな>(高野被告)

<お願いします(涙を一つ出す顔文字)>(佐藤さん)

 連絡があった20分後、高野被告は佐藤さんの銀行口座宛てに4万円を送金した。

◆「携帯が止まる」「シャンパン代」次々と届く金銭無心の理由

 この出来事を皮切りに、佐藤さんによる“搾取”とも取れる、連続した貸付依頼が始まる。5日後の同月13日に「財布を取りに行けていない」、翌14日には「携帯代金の支払いができないので携帯の利用が停止される」と佐藤さんからメッセージを受け、高野被告は7万円を追加で融資する。

 さらに、同月16日には、光熱水費や家賃などを理由に高野被告は27万4800円を送金。翌17日にも、10万円を佐藤さん宛に以下の理由から貸し付けている。

<私のキャバグループの一番偉い人の誕生日で10万のシャンパンを開けさせられた>(佐藤さん・以下同)

<怖くて逆らえなかった>

◆13日間で111万円を送金

「高額のお酒の代金を支払うことになった」、「姉の彼氏が売り掛けを残して消えた」、「姉が中絶するための費用」、「姉の売り掛け金の支払いを請求された。払えなければデリヘルさせられる」--。

 その真偽は不明だが、様々な理由をこじつけては高野被告に貸付を依頼。13日間で111万円もの大金を送金させている。高野被告の貯金も底をついたのか。ぱったりと佐藤さんからの金銭を無心する連絡は途絶えた。しかし、1か月ほど経つと次なる手に出た。