黒木千晶アナ

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読売テレビ・黒木千晶アナ

 宮根誠司氏(63)の後任MCが内定したという。9月末で終わる日本テレビ系情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」(平日午後1時55分)の後続番組の顔になる人である。その人の名は読売テレビ(大阪)の黒木千晶アナウンサー(32)。番組ではSUPER EIGHTの村上信五(44)とともにMCを務め、黒木アナが月〜木曜、村上が金曜を担当する見通しだ。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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【写真】ミニ丈ワンピから美脚スラリ…「新人時代」の黒木アナ

 2月28日付の本稿が伝えたとおり、読テレは「ミヤネ屋」の後続番組のMCについて、最初から局内外のアナ経験者の中から人選を進めていた。午後2時台の平日帯の情報番組は事件と政治を扱い、突発ニュースも飛び込んできやすいからである。アナ未経験者にはハードルがかなり高い。

黒木千晶アナ

 最終的に選んだのが、読テレ女性アナの若きエース・黒木千晶氏。日本テレビ関係者たちが明かした。黒木氏は明るく、気さくで、ユーモアのセンスも抜群。さらに青山学院大在学中に演劇サークルに所属していたこともあってか、表現力が滅法高い。その驚きの表情やあきれたときなどの仕草は観る側の共感や笑いを誘う。

 局内外で「クロキチ」、「ちゃき」の愛称で呼ばれ、親しまれている。肝心のアナ技術も高い。関西女性アナの中での人気は1、2を争う。

 読テレは黒木氏の実力を早くから認め、2021年から看板番組の1つである社会派バラエティ「そこまで言って委員会NP」(関東未放送、日曜午後1時30分)の総合司会を任せている。読テレOB・辛坊治郎氏(70)の後任だ。

 同番組は元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(57)ら複数の論客が登場し、社会問題や政治について本音をぶつけ合う。まとめ役が力量不足だとスタジオが混乱しかねないが、黒木氏は個性派ぞろいの論客たちを的確にリードしている。

 黒木氏は政治から資源問題まで、どんなに難解なテーマにも苦労することなく対応する。困った表情を見せない。「仕事の合間に相当、勉強している」(日テレ関係者)。さらに出演者がかなりの年長者、超大物でも気後れしない。大胆とすら言えるほど余裕たっぷりの態度が目立つ。腹が据わっていると評判だ。

「モノが違う。それは彼女を観たことのある人なら誰もが認めるはず。期待は大きい」(同・日テレ関係者)

 同番組での黒木氏の肩書きは議長。秘書室長と呼ばれる立場の男性司会者は先輩・野村明大アナ(54)。野村氏も宮根氏の後任候補の1人と目されていた。

 宮根氏は朝日放送(大阪)出身。在阪の準キー局には逸材が少なくない。東京に目を向けなくてもMCは見つかる。

「黒木アナの人気は関西限定」と、不安視する声も上がるだろう。しかし、宮根氏も「ミヤネ屋」が全国ネットとなる2008年までは関西限定のスターだった。

既婚、共感型

 TBS系「ゴゴスマ−GO GO! Smile!」(平日午後1時55分)のMC・石井亮次氏(49)もそう。全国区の人気者になったのは2015年に関東での放送も始まってから。

 石井氏もそれまでの人気は制作局・CBCのある名古屋が中心だった。彼も元同局のアナ。本人が実力と人間的魅力を兼ね備え、相応しい放送枠が用意されたら、自然とスターになる。宮根氏、石井氏が好例だ。

 黒木氏は2016年入社で社歴は10年。過去の抜擢は「そこまで言って委員会NP」のMCだけではない。日テレが「news every.」(平日午後3時50分)を流しているとき、読テレが関西ローカルで放送している大型情報番組「かんさい情報ネットten.」(平日午後3時50分)のサブキャスターに入社1年目から起用された。

 異例のことだったため、当時の関西マスコミは「大抜擢」と色めき立った。大学卒業から間もない時期にニュースを扱うのは並大抵のことではない。もっとも、入社前から報道アナ志望であったためかソツなくこなした。やはり陰で勉強を積んでいたのだろう。

「かんさい情報ネット」のサブキャスターは好評を博す。視聴者の信頼も得たことから、2021年にはMCに昇格。2026年3月まで月曜と火曜のMCを担当していた。

 関西の視聴者は黒木氏が笑いながら陰で努力を積んできたことを知っているから、支持するようだ。共感されるタイプのアナである。全国区の人気者がまた増えることを強く予感させる。

 黒木氏は1993年、横浜市青葉区で生まれた。高校時代から演劇鑑賞を始め、青学大でも学問として演劇が学べる文学部比較芸術学科に入った。ゼミでは歌舞伎を専攻。憧れの歌舞伎俳優は15代目片岡仁左衛門(82)だという。

 大学時代には演劇サークルにも入っていた。かなり熱心に活動した。プロの女優も視野にあったようだ。一方で同じ表現者であるアナになる夢もあり、テレビ朝日系のアナウンススクール・テレビ朝日アスクに通う。

 同スクールは歴史が浅いものの、教育内容が評判高く、近年は各局に多数のアナを送り込んでいる。TBS「報道特集」(土曜午後5時30分)の山本恵里伽アナ(32)も同スクールで黒木氏と一緒に学んだ。

 日テレ「news every.サタデー」(土曜午後5時)でキャスターを務めた梅澤廉アナ(33)も同スクールの同期。梅澤氏は後続番組のMCの適任者の1人と見られていた。一緒に夢を追い掛けたアナウンススクールの同期生は結束が並外れて強いことから、黒木氏の快挙を皆で喜ぶことだろう。

 私生活では2022年に結婚した。相手は読テレの一般職の先輩社員。業務上の姓は「黒木」のまま変更しなかった。結婚の際の黒木氏は「周りの方々への感謝を忘れず、これまで以上に仕事に精進してまいります」と短くコメント。派手なことを嫌ったところに本人のキャラクター、会社員らしさが現れている。

 帯の情報番組は心身ともに負担が大きい。周囲の理解がないと、長く続けるのが難しいとされる。その点、夫が事情を知る読テレの社員だと、心強いだろう。

頭を痛めた日テレ

 黒木氏の内定までに日テレは神経をすり減らした。最も頭を痛めたのは後続番組の放送枠を日テレが欲しがり、奪おうとしているという説が流れたこと。

 あり得ない話なのである。「ミヤネ屋」の視聴率は20年間、好調だった。日テレにも系列各局にも大きく貢献した。その放送枠を日テレの思惑で奪い取ったら、信義にもとる。

 万一、本当にそんなことをするとしたら、読テレに同等の利益が上げられそうな放送枠を用意しなくてはならない。だが、帯の情報番組と釣り合う放送枠などない。無理な話なのだ。

 民放の常識を考えると、あまりに現実離れした説とはいえ、こんな話が日テレ内にあったと読テレが信じたら、両局の関係に亀裂が生じかねない。広告代理店も動揺する。後続番組が始まる10月以降のスポンサーの獲得計画が根底から崩れてしまうからだ。

 系列局の放送枠を奪えないのは他局系列も同じ。たとえばフジテレビは東海テレビ(名古屋)が制作していた午後1時台の30分の昼ドラ(1964〜2016年)を移動したがっていた。それは1990年代から。大型生番組を編成しやすくするためである。

 フジは何度も東海テレビと交渉し、代替案として平日夕方の放送枠などを用意したが、折り合わなかった。やっと話し合いがついたのは2016年。20年余もの時間が費やされた。

 昼ドラが終わるのと同時に「土ドラ」(土曜午後11時40分)が生まれた。これが代わりの放送枠である。それにより「その女、ジルバ」(2021年)、「おいハンサム!!」(2022年)などの名作が誕生した。

 在京キー局と系列局の関係は新聞社の本社と支社とは違う。独立した会社と会社。株主構成もまるで異なる。

 日テレと読テレにも上下はなく、パートナー。番組についての情報は共有し、意見も出し合うが、相手の番組に介入する権利などあるはずがない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部