クラブハウスで″整う″秘密兵器!スタッフ&メディアが見た森保ジャパン「ピッチ外の奮闘」現地ルポ

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何をするにも四苦八苦

「’98年からW杯を取材しているけど、こんなにひどい大会は初めてだよ!」

日本が初めてW杯に出場した28年前のフランス大会から取材している重鎮ライターは、そう嘆くのだった。

ピッチ内で圧倒的なパフォーマンスを見せ、快進撃を続ける「森保ジャパン」……のことではない。その活躍ぶりに日本中が歓喜するなか、代表チームとは対照的に、ピッチ外では報道陣が大苦戦を強いられていたのだ。

メディア用シャトルバスが突然運休になるのは序の口。試合後、記者は原稿の締め切りと格闘せねばならず、メディアセンターは通常、4〜5時間は開いているものなのだが--今大会は終了後2時間ほどで閉館。合理的というかビジネスライクというか……とにかくサービス精神は皆無。4年前のカタールW杯では、街の中心に24時間営業の巨大メディアセンターがあったことと比べると雲泥の差である。

そして6月14日、日本対オランダ戦当日に事件は起きた。会場は、大会期間中最多の9試合が組まれるダラススタジアム(アメリカ・テキサス州)。今大会は入場者へのセキュリティチェックが非常に厳格で、メディア関係者がカメラやパソコンといったハイテク機材を持ち込むためには、空港さながらの厳しいX線検査をパスしないといけない。

テロ対策に厳しいアメリカゆえ、それはわかるのだが、問題は検査場の数だ。カタール大会ではメディア用の入場レーンが5〜10本用意されていたのに対し、今回のダラススタジアムはわずか1本。ゲート前にはあっという間に長蛇の列ができた(1枚目写真)。入場するまでに最大1時間半もかかり、その間、炎天下で待たされることとなった。

「アパごはん」に助けられて

追い打ちをかけたのが強烈な紫外線だ。ダラスも、代表の拠点があるテネシー州・ナッシュビルも紫外線指数は11段階中、10を記録する日がザラ。練習場には大量の日焼け止めが置かれ、選手はもちろん、スタッフも練習前には日焼け止めを塗りたくった。強烈な日差しは、シャトルバスが当たり前のように運休し、″待ち″が頻発する今大会の取材において、記者の体力を容赦なく削っていく。

物価高も大敵だ。日本対チュニジア戦のチケットは安いものでも7万円弱の値が付いたことが話題となったが、スタジアムの記者室にある簡易レストランにも物価高、円安の影響が出ていた。たとえば、シンプルなグリーンサラダでも一皿11ドル(約1800円)と高額なのだ。日本メディア陣の利用率は過去最低だろう。

苦難続きの報道陣の″救世主″となっているのが、日本サッカー協会(JFA)の手厚いサポートだ。キャンプ地のメディアセンターでは、毎日Shake Shackのホットドッグ(3枚目写真)が配られる。5.48ドル(約900円)相当を無料で支給してくれるとは、かなり太っ腹だ。

JFAのメインスポンサーのキリンからは『生茶』や『キリンレモン』が提供される。オランダ戦翌日には引き分けに持ち込んだご祝儀とばかりに『一番搾り』が配られ、報道陣を狂喜乱舞させた。他にも、アパホテルのレトルトご飯『アパ社長ごはん』やキョクヨーの『サバ水煮』缶、東洋水産のカップラーメンなど、企業からの差し入れが並ぶ。

さっそく「アパごはん」を食べてみた。ガス直火炊きで、炊き立てをすぐにパッキングしているだけあって、レトルトとは思えないくらいふっくらとして粒だっている。サバの水煮はレモン風味でサッパリしており、アパごはんとよく合った。元谷芙美子社長の顔写真がデカデカとプリントされたパッケージのインパクトは強烈だが、お腹にも財布にも優しい差し入れは本当にありがたい存在である。

「65億円クラブハウス」に潜入

FIFAの大会運営にメディア関係者から不満の声が上がる一方、JFAの対応は過去最高レベルにあると言えるのだが、その最たるものが選手のコンディションに直結するクラブハウスだ。

日本代表のキャンプ地として、JFAは米サッカーリーグ所属の『ナッシュビルSC』のクラブハウスを借りている。4000万ドル(約65億円)をかけて3年前に建設されたのだが、建物全体に掃除が行き届き、ホコリ一つ落ちていない。

温冷交代浴用の施設(5枚目写真)も完備されており、選手たちの疲労回復の大きな助けとなっている。

施設内には全身の血流を促す超低温サウナに加え、疲労やケガからの回復に効果があるとされる「酸素カプセル」を2台設置。なお、通常のドライサウナ(6枚目写真)もあるが、3人入れば満員になる小型のもので、ロウリュ機能はない。それでもコンディションを「整える」ために利用する選手は少なくない。

個人的に筆者が興味深かったのは、監督やコーチが使うロッカールームに大量の『クロレッツ』が用意されていたこと。選手の指導の際に口臭を気にしなければならない令和の指導者たちの気苦労が滲んでいるように思えた。

日本国民の期待を背に大躍進中の「森保ジャパン」。そのウラで、スタッフも報道陣も日々汗を流しているのである。

『FRIDAY』2026年7月10日号より

撮影・文:ミムラユウスケ(スポーツライター)