持ち帰り試験で平均96点のクラスが対面試験に切り替えると平均48点に、教授は「AIでカンニングしている」と落胆

アメリカの名門・ブラウン大学の教授が、自身が担当する数理経済学の試験で大規模な不正があったという話を海外メディアのEL PAÍSに共有しました。試験を自宅持ち帰り方式から対面方式に切り替えただけで平均点が大幅に下がり、持ち帰り試験で満点を出した学生のほとんどは対面試験に出席してこなかったといいます。
Professor denounces mass AI fraud on an exam at Brown University: ‘Academic integrity is at risk’ | Education | EL PAÍS English
ブラウン大学で数理経済学を教えるロベルト・セラーノ教授は、2025年12月に同大学で発生した銃撃事件の影響を鑑み、学生の負担を減らすことを目的として、中間試験と期末試験の両方を自宅持ち帰り方式かつ資料参照禁止の試験にすることを決定しました。持ち帰り試験はブラウン大学を含むアイビー・リーグで一般的ですが、セラーノ教授は34年間の勤務で初めてこの方式を採用したそうです。セラーノ教授の講義は非常に難しく、これまで受講者は30人を超えたことがありませんでしたが、今学期は新しい試験方式が影響したのか86人が履修登録していました。
中間試験の結果は驚くべきもので、平均点は100点満点中なんと96点。受験した86人中40人が満点を獲得していたそうです。セラーノ教授によると「持ち帰り試験は時間をいくらでも使えるため、通常よりも難しく設定していた」とのことですが、あまりにも学生たちの成績が良かったため教授はAIの利用を疑いました。

そこで、セラーノ教授は「期末試験を対面方式に切り替える。中間試験と同様の成績分布にならなければ、最終成績は期末試験のみで評価する」と学生らに通知しました。
その結果、対面方式による試験の平均点は100点満点中48点まで急落しました。中間試験を受験した学生のうち期末試験に出席したのは59人だけで、欠席した27人のうち22人は中間試験で満点を取っていた学生でした。

セラーノ教授はこの結果に落胆し、持ち帰り試験は今後実施しないことを心に誓ったといいます。
EL PAÍSは、今回の件はアイビー・リーグを構成する8校の中でも最大のスキャンダルだと報じています。AIに試験を解かせる事例は後を絶たず、アイビー・リーグの1校であるプリンストン大学では、133年続いた「大学側は試験中に試験監督を置かない」という伝統規定が廃止されるに至りました。
AIを使ったカンニングが蔓延したため試験中に教授が教室を離れるという規定が133年ぶりに廃止されたと学生新聞が報じる - GIGAZINE

セラーノ教授が今回の件を大学の上層部に報告したところ、学長は完全に沈黙し、学部長もセラーノ教授が学術倫理委員会へ案件を持ち込むまで何のコメントもしなかったそうです。セラーノ教授はこのことについて「裕福な家庭から多額の寄付を受けていることもあり、大学は学生側を擁護する姿勢を見せた」と非難しました。
大学側は後に「今回の出来事は警鐘となった」という内容の文書を送ってきたそうですが、セラーノ教授はそれでは不十分だと考え、「私たちは状況の深刻さを公に認め、この問題が実際にどこまで広がっているのかについて幅広い議論を始める必要があります」と伝えました。
