窓を閉め切ったマンション

写真拡大

 ヨーロッパが燃えるような熱波に見舞われている。特に西側のスペインからフランスにかけては厳しく、広い範囲で40度超を観測。6月23日にはスペイン南部で45・1度、フランスのボルドーでも44・3度を記録。24日にはパリでも過去最高の40・9度を記録した。暑さから逃れるために川などに飛び込み、水難事故も多発しているという。

 ***

【写真を見る】川に飛び込み、溺れる若者が… 「44度の酷暑」でもクーラーが設置できないパリ

 デイリー新潮が「40℃の猛暑でも、クーラーが設置できない…『』が嘆いたパリの夏 『エアコン禁止』の理由を現地ジャーナリストが解説」という記事を配信したのは昨年7月21日だった。

窓を閉め切ったマンション

 パリ在住の女優・が自身のYouTubeチャンネルで「パリの記録的な猛暑。クーラーがありません…[報告&対策]」と題して、猛暑にもかかわらずパリではクーラーを勝手に設置できない“悲劇”を報告。この件についてパリ在住のジャーナリスト・広岡裕児氏に寄稿してもらった。

 詳細は当該記事をご覧いただきたいが、その理由はの言った通り「パリでは景観を守るため、室外機を勝手に外につけることができない」というものだった。室外機を外に置くことができなければ、必然的にクーラーの設置は不可能だ。ならばどうしているのかと言えば、扇風機や冷風機(ポータブルエアコン)で凌いでいるという。そして広岡氏は、最後にこう付け加えた。

さんは「命にかかわる問題なので、これから何かしらの対策がなされていったり、クーラーの条例が緩和されたりするのかと思うんですけど……」と希望的に語っているが、残念ながら当分緩和されることはないだろう。早くポータブルエアコンを購入されることをお勧めしたい》

住居以外にもクーラーが必要

 そして今年、まだ6月というのに、フランスでは最高気温40度超えを記録している。Instagramには《パリ今年も猛暑です/約40℃クーラーなし/アッパッパ着て床に寝るの図》というイラストが掲載された。どうやらクーラーの設置はできなかったようだ。

 再び広岡氏に聞いた。

「クーラーについて都市計画上の規制はまったく変わっていません。それ以前に、学校や老人ホーム、列車やメトロにクーラーが設置されていないことのほうが、社会問題になっています」

 老人ホームや学校への設置は喫緊の課題だろう。とはいえ、鉄道にもクーラーがない?

「フランスの新幹線と呼ばれるTGVには設置されていますが、それ以外はクーラーのない車輌が多いですね。都市間特急にはクーラーが付いている列車もあるにはあるのですが、外気温35度までしか耐久性がなかったため故障して何時間も立ち往生したことがありました。多くはクーラーもなく、暑さで線路異常も発生しているため大量運休となっています。ボルドーなどの南西部ではローカル線も運休です」

 もっとも、パリで気温が高いと言っても、東京のように湿度も高い蒸し暑さなのだろうか。

救急搬送は3倍に

「確かに東京に比べれば湿度は低いです。だからといってカラッとしているわけでもない。日陰に入れば多少はましですが、40度にもなれば暑いです。ただ、石造りの建物だと入口の重いドアを開けて入ると洞窟のように多少は涼しく感じます。みんな窓を閉め切って外気が入らないようにしています」

 暑い中、締め切ったほうが涼しいというのは構造の違いなのだろう。

「ですから、昼間、仕事がなければ、家に閉じこもっています。プールが真夜中まで営業されるようになり、普段は日没で閉められる公園も夕涼みする人のために開放されたままになっています」

 夕涼みか……。なんだか昭和の日本のようだが、現実はもっと厳しい。

「セーヌ川はまだですが、パリの中心部を流れるサン・マルタン運河は水泳のために開放されました。その一方で、監視員のいない川などに飛び込んで溺れる若者が続出しています。家庭のプールで溺れたり、クルマの中に置いてけぼりにされて亡くなったりした子どもも出ています。もちろん熱中症も多く、病院の救急搬送も3倍になり、新型コロナの時以来となるORSAN (例外的衛生状況保健対応システム)が発令されました」

 世界気象機関(WMO)が4月に公表した報告書によると、ヨーロッパは世界平均の2倍以上のペースで温暖化が進んでいるという。加えて、今後2週間でさらに熱波がヨーロッパに広がるとの見通しだ。そんな中、7月4日には世界中のファンが注目する自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」が開幕する。

デイリー新潮編集部