「大統領が株で儲けてもいいのか」――そんな素朴な引っかかりから、この話は始まる。実業家のマイキー佐野氏が、トランプ大統領の株売買とインサイダー疑惑をテーマに、誰もが一度は感じる違和感の正体を掘り下げている。
 
トップの座にある人物が、政策と自らの事業を絡めるように立ち回る。中国訪問や大型契約の発表をめぐって、その前後に特定の銘柄が動いていたとされる事例が、次々と挙がっていく。NVIDIAやBoeingといった名の知れた企業も顔を並べ、財務開示の報告にはかなりの規模の取引が記録されているという。アメリカ国内でも本当に大丈夫なのかと話題になり、職務権限の乱用ではないかという声まで上がっている。
 
これに対し政権側は、本人は売買の意思決定に関わっていないと説明する。だが、誰よりも情報を握る立場にあるという事実は消えない。そこで佐野氏は、アメリカの法律が抱える穴へと話を進めていく。地位を使って利益を得ても罰を免れてしまう――その奇妙な仕組みがなぜ成立してしまうのか。鍵を握る法律の名前はと、その曖昧さがどこから生まれるのかは、動画の中で丁寧に語られる。
 
さらに興味深いのは、歴代大統領との対比だ。ある事件をきっかけに、トップは自らの資産を遠ざけるのが常識となった。資産を独立機関に委ねた者、保有株をすべて手放した者――それぞれの身の処し方が紹介され、清廉さを売りにしていたはずの大統領でさえ疑いの目を向けられた過去が掘り起こされる。日本やヨーロッパ各国では、在任中の個別取引にどんな制限がかかっているのか。各国を一枚に並べた資料が、その温度差をくっきりと浮かび上がらせる。
 
それでもトランプ大統領は、周囲の目を意に介さない。佐野氏はその振り切った姿勢を、批判だけで片づけず、ある種の強さとしても捉えている。情報と権力が結びつくことの不公平さと、自国産業を押し上げる効果。相反する二つの見方の間で、結論はあえて宙づりにされたままだ。同じことを日本の政治家がやれば、いったいどんな騒ぎになるのだろうか。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営