人間五十年。まだまだ現役で戦い続ける

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50手前のホストがTikTokで動画を投稿している。かつての歌舞伎町を知る人間なら、少し不思議な光景に映るかもしれない。
『ザ・ノンフィクション』で“高齢ホスト”として話題になった伯爵は、49歳になった現在も現役ホストとして歌舞伎町に立ち続けている。

若手ホストがTikTokInstagramを駆使し、SNSのフォロワー数を武器に売上を競う時代。ホスト業界はここ数年で大きく様変わりした。伯爵もまた、変化に抗うのではなく飛び込むことを選んだ。TikTokInstagram、ライブ配信。そして最近では子供の頃から好きだった音楽にも力を入れている。

「49歳でTikTokなんて、昔の自分なら絶対やってなかったですよ」

そう言って伯爵は笑う。

2017年に初めて『ザ・ノンフィクション』へ出演してから約10年。番組の中で映し出されたのは、成功者ではなく、むしろ格好悪さや弱さ、人間臭さだった。だが、それこそが視聴者の心に残った理由なのかもしれない。

◆『ザ・ノンフィクション』から約10年…今も届く応援メッセージ

「放送当時に比べたら反響は減りました。でも今でもSNSのDMで『応援してます』って言われることはありますね」

伯爵はそう振り返る。『ザ・ノンフィクション』は人間の弱さや葛藤を真正面から映し出す番組だ。

「格好悪い部分も全部映るじゃないですか。だからこそ覚えてもらえてるんだと思います」

実際、思いもよらない形で番組の反響を知ったこともある。中学や高校の道徳の授業で、伯爵が出演した回が教材として使われていたというのだ。

「僕も知らなかったんですよ(笑)。『諦めなきゃ大丈夫』みたいなテーマで使われていたらしくて。学校で!?って思いました」

最初の出演から約10年。当時中学生だった視聴者が社会人になり、「あの番組を見て頑張ろうと思いました」と声をかけてくれることもあるそうだ。

一方で、知名度が売上に直結するわけではない。

「若い子には勝てないですよ(笑)。ノンフィクションには3回も出てるんですけどね」

そう言って笑う。

◆なぜ今でもホストを続けているのか

しかし、番組の反響が今も歌舞伎町に立ち続ける理由のひとつになっていることは間違いない。

「こんな歳まで続けるとは思わなかった」

49歳になった今もホストを続ける理由を尋ねると、伯爵は少し考え込んだ。

「正直、自分でも不思議ですよ(笑)」

学生時代の伯爵はホストが嫌いだった。

「世界で一番嫌いな生き物がホストだったんです」

だが人生はわからない。気づけば人生の半分近くを歌舞伎町で過ごしていた。

「まだ必要としてくれる人がいるんですよね。それに『もう無理だろ』って言われる世界で、どこまでやれるのか試したい気持ちもある」

若いホストとのナンバー争いではない。勝負している相手は自分自身だと頬を緩ませる。

「ライバルは自分ですね(笑)」

冗談のように聞こえるが、彼の言葉には強い意志がにじむ。

◆“若さの街”で49歳ホストはどう戦うのか

歌舞伎町は若さが価値になる街だ。当然、49歳という年齢を意識する瞬間は少なくない。

「毎日ありますよ(笑)」

伯爵は即答した。

「送り指名も飲み直しも若い子に持っていかれますからね。心折れそうになって、一人で泣いてる時もありますよ。本当に」

49歳のホストが、一人で泣く。物悲しい姿はテレビの中の伯爵とどこか重なる。

「俺はこんな歳で何してるんだろうって思いますよ。自問自答しながらです」

とはいえ、そのまま終わらないのが伯爵らしい。

「だったら49歳を武器にした方が面白いじゃないですか」

若さで勝てないなら経験で勝負する。それが今のスタンスだ。

「若い頃は自分を見てほしかった。でも今は相手を見る余裕がある」