「今はとにかく勝ちたい」「W杯はエゴを出す大会じゃない」堂安律が示す献身性、日本代表の10番が見せる変化と進化
オランダ代表、チュニジア代表を相手に1勝1分けの勝ち点4を確保。グループFの2位につけている日本代表は、目下1位~3位まで全ての可能性がある状況だ。1位・2位の場合はラウンド32がブラジル代表かモロッコ代表と非常に厳しい戦いが予想されるが、1位通過の方がその後と対戦相手がやや楽とも言われている。仮に3位通過になれば、一発目からフランス代表との激突が濃厚。その行方はスウェーデン戦次第ということになる。
2018年9月に第1次森保ジャパンがスタートした頃、堂安は“エゴイストの塊”のような選手だった。森保監督も「『自分が自分が』を押し出すのは悪いことじゃない」と語り、その鼻息の荒さを買っていたが、あまりにも度が過ぎるのはチームにとってマイナスだ。カタール大会に向けたアジア最終予選では、伊東純也の台頭によって出場機会が減少。感情の整理がつかずに苦しんでいたが、指揮官は若きレフティを外すという大鉈をを振るったこともあった。
そんな紆余曲折を経て、迎えたカタール大会。堂安の立ち位置は“ジョーカー”。途中から出てきてゴールを奪い、勝利を引き寄せるという重要な役割だった。本人もそこに集中。ドイツ代表、スペイン代表戦で歴史的逆転勝利につながる一撃をお見舞いしたが、本音の部分では「次は絶対的な主軸としてフル稼働したい」という強い気持ちがあったのではないか。
第2次森保ジャパンでの堂安は大黒柱に君臨したが、右ウイングバックが主戦場になったことで、守備のハードワークを強く求められる状況が増していった。その結果、今大会に向けたアジア最終予選ではアタッカー陣の中で唯一のノーゴール。今大会に入ってからもまだ得点がない。その複雑な胸中を大先輩・長友佑都は代弁した。
「律は10番で、前の選手たちがこれだけ得点を取っている中、彼も点を取りたいはずなんですよ。でも、DFかのようにあれだけ体を張ってディフェンスをして、忠誠心を持ってチームのためにやっている。その姿を見て、僕らもすごく勇気づけられるんですよ。エゴとか自分だけのことを考えず、チームのために徹して戦っている姿を見て、自分もああいうプレーをしたいなと思う。絶対にいつかチャンスのボールがこぼれてくるし、彼が全て持っていく。それが堂安律なんです」
