ハラスメント対策の広がる現代において、あえての”厳しい指導”が注目を集める人気ラーメン店・王道家(千葉・柏)。店主・清水裕正さんが、今もスパルタ指導を貫き続ける理由とその根底にある弟子への本音を明かした。

【映像】「甘ったれてんだよ!」50歳の新人店長に怒号が飛んだ瞬間

 『改めて、取材しました。』(ABEMA)では、ハラスメントを許さない現代において「厳しい指導は社会に必要か?」をテーマに、山形・山形市に誕生した新店舗「との丸家」のオープンまでに密着。独自の哲学を持って弟子に厳しい指導を行う清水さんと、店を任された新人店長とのリアルな対峙から人材育成のあり方を取材した。

 王道家のYouTubeチャンネルでは、清水さんがスープの仕込みについて指摘する姿や、若い店員に向けて「やらねえのはお前、ただの傲慢だ、バカたれ!!」と叱責する様子が隠すことなくアップされている。コメント欄には「厳しいが、こんなに真面目に面倒見てくれる親方はいない」という声の一方で、厳しい指導に対する批判もある。当然、修業中の新人たちの現実も甘くなく、高校を卒業したばかりの18歳の新人が「合わない」という理由からわずか1週間で店を去るなど、厳しい現実が映し出された。

「お前のためじゃねぇのかよ!」オープン前日、スープの違和感を見抜いた清水社長

 山形店のオープン前日、厨房では最終調整が行われていた。新店舗を任されたのは、清水さんに憧れて5年前に王道家の門を叩き、修業を積んできた地元出身の新人店長・大沼宏之さん(50歳)である。仕込みは順調に進んでいると思われていたが、店を訪れた清水さんがスープを試食したことで空気が一変する。

 清水さんは、「ネック(鶏の首ガラ)入ってないやつじゃないか。変な苦味まであるぞ」と冷徹に指摘し、配合の違和感を見抜いた。清水さんは「使うガラの状態とか見ないの?何で見ねえんだよ、お前」と激昂。その後、大沼さんを目の前に座らせると、「お前のための店じゃねぇのかよ!」と凄まじい迫力で一喝し、「甘ったれてんだよ。だから直らないんだ」と言葉を叩きつけた。「変われるのか、変われないのかどっちだよ!今、言え!」と迫られた大沼さんが「変わります」と宣言すると、清水さんは「結果でやれよ。約束だからな」と言い残し、去っていった。

 オープンの朝、大沼さんは清水さんからの指摘を胸に、スープの仕込みに黙々と取り組んでいた。入れる順番や割合を変更したという大沼さんは「まず言われたことをしっかりやってやります」と決意を口にする。その後、店に到着した清水さんはスープの匂いを無言で確認すると、「オッケー。いいよ」と及第点。大沼さんの表情は一瞬だけ和らいだが、清水さんはカウンターの外から身を乗り出し「ゲンコツを抜かないようにしろ」と低い声で警告。さらに自ら厨房に入り、スープを豪快にかき混ぜながら熱心に指導、小さな妥協も許さない姿勢を示した。

 開店に向けて、店には大勢のお客さんが詰めかけていた。大沼さんは声を張り上げ、涙をこらえるように顔を歪ませながら「朝早くからお並びいただきまして、誠にありがとうございます!」と挨拶。「清水社長から、すごくお叱りをいただきました。これをバネに一日一日おいしいものを作ってお客さまを笑顔にする一杯ラーメンを作っていきたいと思います」と覚悟を語った。大沼さんから紹介された清水さんは、「厳しい評価でこいつを見てやってください。よろしくお願いします」と呼びかけ、温かい拍手が送られた。

「人を勝たせるのが俺の仕事」カメラで漏らした、弟子への深い愛情と本音

 店のオープンを見届けた後、清水さんは弟子たちへの思いをカメラに明かした。「俺の仕事は、人を勝たせることだから。自分がどうのこうのじゃない」と語り、「俺は弟子の自慢話を聞くのが大好き。おお、頑張ったなって。で、俺がそこでマウントとるのがさらに好きなの」と笑顔を見せた。大沼さんについては「頑張ってもらいたいね、自慢話が聞けるように」と期待を込めていた。