●デジタル化でビジネスチャンス拡大

 こうしたデジタル化は、これまで招集通知の印刷で稼いできた株主総会関連ビジネスを展開する企業にとって、マイナスの面ばかりではない。株主総会に関する紙の印刷ボリュームが減った一方で、ウェブサイトへの正確なアップロードやセキュリティー対策、電子化に伴う複雑な法務コンサルティングの需要が増加しており、印刷という「労働集約型」から、システム利用料やコンサル料という「高利益率ビジネス」への転換が進むことにもつながっている。

 企業にとって、株主総会は「今年は予算がないからスキップする」というわけにはいかない法律上の義務だ。しかも、一度デジタル化を進めた企業は、翌年以降に元の「紙とリアルだけ」のアナログ運営に戻ることは極めて考えにくい。株主総会関連ビジネスは、顧客獲得コストに対して、極めて長いライフタイムバリュー(顧客生涯価値)が見込めるビジネスであり、成長性が期待できる分野といえよう。

●株主総会関連ビジネスを手掛ける銘柄をピックアップ

 関連銘柄の代表格はプロネクサス <7893> [東証P]とTAKARA & COMPANY <7921> [東証P]だ。

 プロネクサスは、ディスクロージャーやIRの資料作成の実務支援を中心に事業を拡大しており、株主総会に関しては、運営を最適化する「株主総会運営支援サービス」を展開。総会の運営計画から機材・スタッフの手配、コンテンツ制作、運営方法の提案、オンライン(バーチャル)総会を含めた開催支援などを提供している。26年3月期は会計コンサルティングファームのJBAホールディングスを連結子会社化(M&A)したことに加え、決算支援・開示書類作成に係るアウトソーシングサービスの受注拡大などにより連結営業利益が29億600万円(前の期比13.9倍)で着地。27年3月期は東証の市場改革の影響で顧客数減少を見込むものの、新たなビジネス領域の拡大などもあり営業利益30億円(前期比3.2%増)を見込む。

 一方、宝&COはディスクロージャーに関する業務のトータルサポートを行っており、上場会社に開示が義務づけられている「法定開示書類」や、企業が自主的に作成する「任意開示書類」などの作成支援を、システムの提供から内容のチェック、コンサルティング、通訳・翻訳、制作・印刷までを一貫して行っている。26年5月期は、ジェイ・トラストをグループ化した効果に加えて、株主総会招集通知や統合報告書の需要が増加しているほか、英文開示義務化で翻訳需要も急増しており、第3四半期累計(25年6月~26年2月)の連結営業利益は25億3200万円(前年同期比2.5%増)で着地。通期は営業利益44億円(前の期比8.7%増)を見込む。

 Jストリーム <4308> [東証G]は動画配信プラットフォームの大手。21年に行われたユーグレナ <2931> [東証P]による日本初の「バーチャルオンリー株主総会」のライブ配信領域を担当した実績があり、リアルな会場を設置する「ハイブリッド型バーチャル株主総会」、リアルな会場を設置しない「バーチャルオンリー型株主総会」のライブ配信・セキュリティー対策で豊富な実績を有している。4月30日に発表した27年3月期連結業績予想では、営業利益9億2000万円(前期比11.4%増)を予想している。

 このほか、株主総会支援サービス「Sharely(シェアリー)」を展開するエキサイトホールディングス <5571> [東証S]や、会場提供とあわせて、ウィルズ <4482> [東証G]と共同でハイブリッド型バーチャル株主総会運営サービスを提供するTKP <3479> [東証G]にも注目。また、実質株主を判明させる「株主判明調査」や、議決権行使のシミュレーション、プロキシーファイト(委任状争奪戦)のコンサルティングにおける技術・ノウハウで国内トップクラスの実績を有するアイ・アールジャパンホールディングス <6035> [東証S]も関連銘柄として忘れてはならないだろう。

株探ニュース