「もう限界です」…都内大学に通う息子に仕送り“年120万円”超え。世帯年収820万円・49歳父、ギリギリ家計の中「家族にも言わず通う場所」
40代後半〜50代前半は家計の“谷”の時期と言われることがあります。住宅ローン、子どもの教育費、自分たちの老後資金……普通に稼いでいても生活が苦しくなるケースは少なくありません。Aさんも、まさにその一人。世帯年収820万円、地方では決して低くない水準です。それでも、長男の県外進学をきっかけに家計は一変しました。40代会社員が直面した現実を見ていきましょう。
県外進学が家計を圧迫…世帯年収820万円会社員「余裕ゼロ」
Aさんは地方企業に勤める会社員(49歳)。妻も会社員で、世帯年収は約820万円(Aさん520万円、妻300万円)。Aさんが住むエリアでは決して低い水準ではありません。
息子が2人おり、長男は昨春、都内の大学へ進学。学費は子どものころから積み立ててきた学資保険の満期金と貯金で支払っています。しかし、県外進学となると一人暮らし費用は別途必要です。
家賃は月6万8,000円、水道光熱費が約1万円。これらはAさんの口座から引き落とされます。もちろん、他に食費などの生活費も必要なので、さらに2万円を振り込み。つまり、合計約10万円です。長男は奨学金を月4万円借り、足りない分はアルバイトで賄う約束でした。
全国大学生活協同組合連合会が実施した「第60回学生生活実態調査(2026年)」では、仕送りの平均額は月74,652円。Aさんの負担は平均を上回っていますが、それぐらいを援助しなければ、息子が安心して勉強できないだろうと、出すことにしたのです。
試算はしていたが…
進学前、Aさんは試算していました。月10万円、1年で120万円、4年間で約480万円。覚悟のうえの負担でした。
しかし、実際には、想定通りとはいきません。
長男がアルバイトを始められたのは、1年生の5月半ばから。4月は履修登録や新生活への適応で余裕がなかったのです。ようやく働き始めても1年生は必修科目が多く、時間割が埋まっています。思うようにシフトに入れず、収入は不安定でした。
「ちょっと足りない。少し送ってほしい」
妻宛てにそんな連絡があるたびに、Aさんは2万〜3万円を追加で振り込みました。
「年120万円でも相当な負担なのに、1年目は春先を中心に本当にお金がかかった。なんだかんだ150万円は超えたでしょう。そもそも、一人暮らしの初期費用で50万円以上かかっていますしね……」とAさんは溜息まじりです。
「2年になれば少しは落ち着くだろう」。そう期待して迎えた次の春でしたが、現実は違ったといいます。
2年目も楽にはならず、精神的に追い詰められ…
大学生活でアルバイト収入が安定しやすいのは、一般的に3年生以降といわれます。時間割に余白ができやすいためです。
2年生はまだ必修科目が多く、専門科目も増えます。春の履修が確定するまではアルバイトのシフトを増やせず、教科書代もかさむ。再び、春先は長男の収入が不安定になりました。
「『寝る間を削ってアルバイトをしなさい』とか『奨学金を増やしたらどうか』と言うのも、親として憚られます。でも、もう1円も余裕はないというのが本心です」
Aさん一家の支出は以下のとおり。
・住宅ローン:月10万円
・車のローン:月3万円
・長男の仕送り:約10万円
・次男(高校1年生)の塾代など:約3万円
ここまでで26万円。さらに、食費、光熱費、通信費、保険料、日用品費などを加えると、毎月の支出は少なくても40万円を超えます。
ボーナスは固定資産税や車検費用で消え、老後資金の積み立ては昨春から止まっています。赤字ギリギリの状態でなんとか踏ん張っている――そんなAさんでしたが、プレッシャーは少しずつ彼をむしばんでいました。
家族を養い続ける責任。終わりの見えない住宅ローン。仕事のストレス。気分の落ち込みや不眠が続きました。妻にも会社にも言えず、ひそかに心療内科を受診し、時々薬を飲んでいるといいます。
「3年生になって、さすがに追加の仕送りも減るはず。ですが、下の息子も、長男と入れ違いで大学進学を控えていて、都内を希望する可能性が高いですし、老後資金どころではない。ギリギリの状態がまだまだ続きますね……」
40代後半〜50代前半は家計の“谷”の時期
40代後半〜50代前半は子どもの進学、住宅ローン、さらに親自身の老後も視野に入る時期。世帯年収がある程度あっても、教育費と住宅費が重なると家計が厳しくなりがちです。
Aさんのように一般的な収入、平均的な家族構成、地方では当たり前の県外進学という選択。特別な贅沢はしていないのに、「普通」が家計を追い詰めています。このようなときの考え方として、ポイントがいくつかあります。
仕送り額は“固定費”に
足りない分をその都度送るという形をやめること。月10万円が限界なら、それを上限と決める。不足分は、奨学金の増額を検討する、アルバイト時間を調整する、息子の支出内訳を一緒に見直すなど、家族内で検討する。
「老後資金を止め続ける」ことを当たり前にしない
危険なのは、教育費が終わったら老後資金を再開すればいいと考えること。教育費が終わる頃には収入は伸びにくく、親の介護リスクが出てきて、自身の健康不安も始まるため、教育費と両立する最低ラインの積立額を、完全にゼロにしないことが重要。
子どもに“お金の現実”を共有する
家計事情をある程度オープンにするという方法も。「出してもらって当然」ではなく、「家族で支え合っている」という認識が生まれる。
進学は子どもの成長の証。その裏側で、家計の固定費は確実に増えます。無理をし続ければ親子共倒れの可能性もないとはいえません。
万能の解決策がないからこそ、家族であらためて共有・協力することが必要です。
