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運営法人による裁量が大きい日本の高齢者施設。建物の大きさやサービスなどの違いによって、かかる費用も各施設ごとに大きく異なります。本記事では、有料老人ホームの仕組みや入居費を抑えるポイント、自己負担を減らす制度などについて、FPの丸山幹也氏が監修した『介護マネーのプロが解決! 親の高齢者住まいにかかるお金のギモン 暮らし・資金に合った住まい選びがよくわかる』(メイツユニバーサルコンテンツ)より一部を抜粋・再編集し解説します。

有料老人ホームの主流「介護付き」と「住宅型」

民間会社や社会福祉法人などが運営する有料老人ホーム。食事サービス、家事援助、介護サービス、健康管理のいずれかを提供していることが条件です。大きく3種類あり、介護付きと住宅型が主流です。

[図表1]有料老人ホーム3種類の比較表 出典:みんなの介護(施設の特徴欄を除く)

 厚生労働省の「令和5年社会福祉施設等調査の概況」によれば、有料老人ホームの数は17,833件。特養やグループホームよりも数が多く、今後も増えていくでしょう。ただし、健康型は非常に少ないです。

[図表2]有料老人ホームの種類別割合 出典:公益財団法人 全国有料老人ホーム協会(「2024年度事業報告書」より算出)

施設によって料金やサービス内容は天地の差?

料金やサービス、建物の大きさなどは、運営法人が自由に決められる部分が大きいので、施設ごとに特徴が異なります。特に介護付き、健康型は表を見てわかるように、入居一時金が非常に高価なところも。シャンデリアが輝き、一流シェフが料理の腕をふるうところもあります。 

一方、グループホームとほとんど料金が変わらないところも多いです。

毎日の生活を楽しめるように、華道、書道、ヨガ、囲碁、楽器演奏などをサークルのように楽しめたり、防音のカラオケルームや草花や野菜を利用者が育てられる菜園があるところも。 

あるいは、経管栄養や呼吸器使用の方など、医療依存度が高い方を専門に受け入れる有料老人ホームもあります。

高額な方が安いホームより何もかも優れているとは限りません。価格だけでなく職員や他の利用者の雰囲気なども含め、入居する人がすんなり溶け込めるかどうか、実際に見学や体験入居をして選びたいですね。

高級マンション風の施設でも、実は「介護サービス」が手頃なワケ

有料老人ホームは大型で部屋数の多い高級マンションのようなところも目立ちます。

フロアごとにリビングルームがあり、そのフロアの利用者が利用する形になっています。階ごとに認知症の重い人が集まるフロア、歩行ができる人のフロア、医療処置が必要なフロアなどと、利用者を分けているところもあります。

そんな高級マンションのようなイメージで手厚く介護してくれる介護付き有料老人ホームは「高そう!」と思うかもしれません。

しかし、料金が高額なのは建物やレクリエーション部分であり、介護サービスは介護保険による定額サービスで、手頃です。要介護1から5では多少の差がありますが、たいした差ではありません。体が弱ってきて寝たきりになっても、介護サービス部分の料金はそれほど変わりません。

[図表3]介護付き有料老人ホームの月額利用料

費用に違いが出るのは主に賃料や食費、管理費などの施設に支払うお金です。また、施設によっては、よりきめ細かい介護サービスを提供するため、介護保険制度の基準の3:1よりも手厚い人員配置をしている施設もあります。そのような施設では上乗せ介護サービス費が発生する場合があります。

「特定施設」である介護付きの有料老人ホームは、住宅型に比べると設立が少し難しい部分があるので、住宅型より若干入りにくいかもしれません。また、24時間の介護サービスがあるため、住宅型より介護度の高い人が入居する比率が高いといえます。

入居時の確認必須!本人の「健康状態」と医療体制のミスマッチ

看護師が日中に常駐しているとはいえ、なんでも病気に対処できるわけではありません。看護師がいない時間帯に利用者が急に体調が悪くなれば、救急車を呼ぶなどの対処になります。

入居の時点で、ご本人の病気やその進み具合などをよく話し合っておきましょう。施設の訪問医がいたとしても、高度な医療が必要になる病気を持っている場合は、大きな病院の専門のドクターとつながっておくことが重要です。

有料老人ホームの「3つの支払い方式」

有料老人ホームの料金には、入居一時金と月額利用料があります。 

[図表4]有料老人ホームの料金システム

入居一時金と月額利用料の組み合わせによって、大きく3パターンの支払い方法があります。

① 全額前払い方式 

入居一時金を最初にすべて払い、その後は月額利用料を毎月払っていくやり方。最初に大きなお金を払うのが大変ですが、後々の支払いは楽になります。急逝してしまうなど、アクシデントがあった場合は一定の償却のあと返還があります。

②一部支払い方式 

入居一時金の一部を支払い、あとは残りの分を毎月上乗せするやり方です。ほどほどの入居金を支払い、月額利用料よりもほどほどに高い月払いをしていきます。

③月払い方式 

入居一時金+月額利用料を月割りで払っていきます。月額利用料はかなり高くなりますが、特養の入居待ちなどで短期間の入居と決まっている場合にはこの方式が利用しやすいでしょう。

[図表5]有料老人ホームの3つの支払い方法

「過剰なサービス提案」で月額費用が膨れ上がるリスク

比較的元気な状態で入居し、ひとりでできることも多いのなら、過剰な介護は必要ありません。

住宅型は自由にサービスを選べるのがよいところなので、「できることは自分で」と決めてサービスを取捨選択すれば、費用も抑えられます。

施設によっては過剰にサービスを提案して問題になっているところもあるので、気をつけましょう。

自己負担額を減らしながら有料老人ホームを利用する2つの制度

自己負担額を減らしながら有料老人ホームを利用する手段もあります。ここで紹介する2つの制度は、有料老人ホームだけでなく、在宅介護でも使えます。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った介護保険の自己負担額が高額の場合、所得に応じた限度額の超過分が払い戻される制度です。

高額介護合算療養費

高額介護合算療養費は、1年間に支払った医療費と介護保険の自己負担額の合算が、規定の上限を超えた場合に超過分が払い戻される制度です。

丸山 幹也
ファイナンシャルプランナー