連載:アナログ時代のクルマたち|Vol. 74 マセラティ4CS 1500 MM(4CS1100)
4CS1100が最初に登場したのは、1932年のことで、シャシーナンバー1114を持つこの車は当初4CTRと呼ばれ、1台だけが作られた。Cはシリンダー、後ろ二つのTRはTesta Riportataの頭文字で、取り外し可能なヘッドを意味するという。
4CS1100は1100ccの4気筒スポーツカーを意味し、この名称を持つ車は合計5台が作られた。その後4CS1500が作られたのだが、1100の時代から多くのモデルが1500ccエンジンに乗せ換えられていて、ロッソビアンコに収蔵されていたモデルも、実際には4CS1100として生を受けたモデルである。
大戦中の行方は不明だが、1969年に売却され、海を渡りアメリカに行った。新たなオーナーは、博物館を持ち、ル・マンにも何度も挑戦したブリックス・カニンガム氏。彼の元に行き、コスタメサのカニンガム博物館に収蔵された。この時、さらなるボディ改造と、フロントサスペンションの独立化などが施されている。
カニンガム氏の死後、再びヨーロッパに戻り、ピーター・カウスが新たなオーナーとなった。そして2006年に博物館が閉鎖された後、ボナムスのオークションにかけられ、64万3000ユーロで落札されている。そして、新オーナーの元でボディは再びオリジナルに近いものへとレストアされ、フィアットベースのフロント独立懸架のサスペンションは、これも再びオリジナルのビームアクスルに戻されているという。
文:中村孝仁 写真:T. Etoh
