週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比477円高の3万8311円と大幅反発。前週末に波乱含みの下げをみせたが、きょうはそれを余裕で取り戻し、3万8000円台を大きく回復した。前週後半は雲行きがにわかに怪しくなり、事実、週末13日はイスラエルによるイランの核施設や原油関連施設などへの攻撃によって、これまでよりステージの高い地政学リスクに晒された。当欄では前週木曜日にネガティブな気配があったため「高陵には向かうことなかれ」と、買いはいったん手控えておくことを推奨したが、中東有事で一時600円を超える下げとして早々に相場に反映されたのには少なからず驚かされた。

 しかし、マーケットの買い気は思った以上に強いことも今回確認された。今はミニバブル状態と言ってしまえば語弊はあるが、おそらくそれに近い相場環境が醸成されているといってよさそうだ。先物主導で前週末に売り方がここぞと売り乗せたショートポジションが、きょうは一気に逆流する格好となり、想定外の切り返しをみせた。欧州株安に加え、米国株市場でNYダウが一時900ドル近い急落をみせたが、その流れを東京市場が堰き止め、売り方を慌てさせる展開というのは、国内に材料の乏しい状況下では珍しいケースでもある。

 きょうの取引開始前の時点で日経先物がプラス圏にあったのだが、それでも市場関係者に強気を唱える向きは皆無で、「株価は仮に朝方しっかりでも “あや戻し”で、後場に入れば結局売りに押し流されるだろう」(中堅証券ストラテジスト)という声が聞かれた。また、それが人間の思考として当然でもあった。ところがフタを開けてみれば、そうした市場筋の見解をことごとく粉砕する強調展開が待っているのだから相場は不思議である。

 確かに前週末の欧米株よりも東京市場の方が時間軸的に先行して売られたことで、きょうは改めて売り直すには材料不足ということもあったが、それだけではない。中銀ウィークを迎え、中銀の政策スタンスに耳目が集まる場面で、日銀の国債買い入れの減額幅圧縮観測が、あまりにタイムリーに相場を強気へと誘導するカタリストとなった。日銀は四半期ごとに国債買い入れ額を4000億円ずつ減らしてきたが、これを来年4月から2000億円程度と半分に減らすという報道内容。一瞬分かりにくいが、買い入れの減額幅を緩やかにするということは、ベクトルの向きで言えば金融緩和的な作用をもたらす。日銀はペースが緩やかであっても「これから金融引き締めに向かう」というコンセンサス自体は鉄壁化していただけに、この「買い入れ減額ピッチを速めるのではなく遅くする」という報道は、思いのほか今の相場には株価浮揚の材料として機能した。