Tomonari SAKURAI

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1カ月ちょっとの日本滞在からフランスへ帰国。最初の車のイベントは、オートドローム・リナス=モンレリで開催された「JapnCar Festival 2025」だった。今回でなんと7回目。回を重ねるごとにその規模は確実に拡大しており、サーキットを運営するUTACが自らプロデュースするイベントということもあって、運営体制も極めて本格的だ。

【画像】フランス・モンレリのサーキットが、日本車と日本を愛する熱気で埋め尽くされる(写真43点)

初期は小規模な集まりだったが、今では数百台の日本車が集まり、名物となったドリフトデモンストレーションやサーキット走行を目当てに多くの観客が訪れる。モンレリのこの週末は、まさに「日本車が主役の祭典」といった様相だった。

毎年のように訪れていると、出展される車の傾向の変化も見えてくる。かつては漫画やアニメに登場する車両が目立ったが、現在はカスタムベースとしてのポテンシャルやメカニカルな完成度に魅了されて選ばれる、いわゆる「ヤングタイマー」が主軸となっている。1980~90年代の日本で生まれた車たち-GT-R、スープラ、RX-7、NSX、シビックタイプR、AZ-1、センチュリーなど-は、いまやフランスでも確固たるファン層を形成している。

個人参加が主だった時代から、現在はドリフトチームや輸入ショップ、カスタムガレージの出展が目立ち、プロフェッショナルな視点で日本車と向き合う流れがはっきりと見える。とりわけ、日本からの直輸入車を取り扱う専門ショップのブースが増えてきたのは象徴的だ。

フランスでは右ハンドル車が「危険」と見なされて敬遠されがちだったが、今の若者たちはそれを気にしない。むしろ「右ハンドル=日本車らしさ」として積極的に受け入れているようだ。軽自動車のような日本独自のカテゴリーも人気が出ており、スズキ・カプチーノやホンダ・ビートなどが堂々とナンバー付きで展示されていた。

そしてこの背景には、日本車そのものの性能や品質以上に、”日本”というサブカルチャー全体に対する関心が根付いていることを強く感じた。たしかに、かつて会場を彩ったアニメやコスプレの要素は控えめになった印象もあるが、それは日本の文化が一過性のブームを超え、本質的な価値として定着してきたことの証でもある。

JapnCar Festivalとは?

JapnCar Festivalは、フランス・リナス=モンレリの歴史あるサーキットを舞台に、毎年開催される日本車専門のモーターフェスティバルだ。走行会、パレード、ドリフトショー、展示といった”動と静”を融合させたイベント構成により、幅広い層のファンを惹きつけている。

2025年の今回は、1980~90年代に生産されたヤングタイマーたちが主役。GT-RやZ、AE86、RPS13、インプレッサWRXといった名車たちが勢揃いし、熱心なファンやカメラマン、そして多くの家族連れがその姿に見入っていた。

フランスで育つ”もうひとつの日本”

フランスは、世界的に見てもトップクラスの”日本大好き国”だ。だが、単なる模倣に留まらない。すでに日本の食文化の多くは、フランスの食卓や日常に溶け込み、独自のスタイルとして進化を遂げている。寿司もラーメンも、いまやフランス流の解釈と共に新しい道を歩み始めている。

それと同様に、日本車もまた、ここフランスで新たな文化として根付きつつある。単なる「外来車」ではなく、フランスの若者たちのライフスタイルや価値観の中に、ひとつの象徴として存在するようになったのだ。

モンレリのサーキットが、日本車と日本を愛する熱気で埋め尽くされるなか、ふと気づいた。会場で日本人を見かけることはほとんどなく、もしかすると僕ひとりだったかもしれない。この熱狂の中で、僕がふと”異邦人”のように感じたのは、そのせいなのかもしれない。

だがそれは寂しさではなく、日本がここまで届いているのだという誇りでもある。フランスで育ちつつあるもうひとつの”日本”を、こうして目の当たりにできる喜びが、何よりも大きい。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI