75歳節約家、突然の長期入院。大きな出費のためにとった行動
画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。年金節約者の小笠原さんの暮らしのモットーは、節約をすること。ところが昨年、足の骨を折るケガにより長期入院をしたことで大きな出費が生じたそう。詳しくつづってくれました。

自宅から離れたところで骨折。搬送費の額に驚き
入院費は、病状などによって異なりますが、一例として、私が骨折をしたことで整形外科及び形成外科に計4か月間入院して、かかった費用についてのお話をします。入院と同時に費用のことを考えた私は、予想どおりとはいえ、大きな出費にうろたえました。
昨年、自宅から離れた外出先で足の骨を折ってしまった私は、周囲にいた人たちに助けられながら救急車に乗せられ、現場近くの病院に搬送されました。しかしその病院は、私の自宅から車で2時間余りあり、治療後の通院がしにくいという点で、その日の夜、自宅に近い救急病院に転送されました。
救急車は、日本の場合は無料であることを、改めてありがたいと思いましたが、ほかの病院への転送には救急車は使えず、介護タクシーを利用することになりました。介護タクシーとは、文字どおり介護つききのタクシーであり、介護資格のある人の運転によって、私の場合、退去する病室の病室から転送先の病院の病室まで、ベッドに横たわったまま運んでもらいました。
深夜営業ということもあって、驚くべき金額。一般タクシーの3倍から5倍でしょう。ベッドごと入るバン型車で、湘南の病院から都内の病院まで、東京・大阪往復新幹線料金ほどかかりました。
●その後二度の介護タクシー利用でさらなる出費が…
ところで私は、この骨折が思うように治らず再入院という憂き目にあい、介護タクシーをその後も二度も乗ることになりました。病院から自宅までバスで10分足らずの距離を運ばれるのに、合計して、先の深夜タクシーとほぼ同額を支払いました。車イスを使っていたこのときは、二度とも車イスごと入るクルマでなんとか無事に搬送されました。
なお介護つきですから、途中で買い物を手伝ってもらったり、自宅室内に掃除機をかけてもらったりはお願いできました。ひとり暮らしで、運転できる友人をもたない私には、これに頼るしかなかったのです。
その後、これでは到底経済的破綻をきたすと思った私は、退院後の通院に、これまでに数回しか会ったことのない知人に泣きの涙で搬送を依頼し、数か月処理できないまま自宅に放置してあった諸用の手続きや、通院を助けてもらいました。
120日の入院費の総額に感じた不安

さて退院時に病院に支払った入院費はといえば、約30万円でした。ぎりぎり支払えない金額ではないものの、完全無欠の節約主義である私は、それを支払うのがどうにも無念な思いでした。入院当初は、いつ退院するか、つまりいつ支出しなければならないかわからなかったこともあり、ベッドの中でもんもんと金策を練っていました。
緊急時にしか手をつけない金融機関の預金口座から引き落とすしかなかったのに、早く金銭問題から心理的に逃れたくて、まずは遠地の金融機関から近隣の銀行へ送金依頼をしようとしましたが、その手続きに必要な印鑑も持ち合わせていなかったのです。些細なことでも、病人には大きな不安感を与えるものですね。
●リハビリ病院へ転院したらさらにお金がかかっていた…
入院費のほか、手術後のリハビリにもお金がかかりそうでした。ほかのリハビリ専門病院に転院して行うのが通例だそうで、私もそれを薦められましたが、保証人がいない私の場合、受け入れてくれる病院もほとんどなかったのです。それでも一院見つかったとの連絡を受けたものの、その病院で、さらに数十万円かかると聞きました。
この悩みの最中、たまたま見舞いに来てくれた友人に、思わず吐露すると、見舞金として出資してくれたのです。その心遣いと行為に驚嘆しながら、どんなに感謝したことでしょう。それでもリハビリ病院への転院は、経済的負担を減らすため、自宅でのひとり暮らしの中で遂げたかった私は、120日後に直接自宅へと退院しました。
入院中の院内で、夜となく朝となく人知れず、無理して患足に体重をかけながら歩行練習を重ね、歩行器なしでなんとか歩けるようになった私は、リハビリ病院行きを免れたわけです。
結局予想以上に入院が長引いたこともあり、入院や治療に関する全費用を時間をかけて捻出することができました。友人からの見舞金も、退院後の一般タクシー代に当てるなどありがたく使わせてもらいました。早くお礼をしなければいけませんね。
それ以外に費用と申請したお金のこと

ちなみに入院費のほかに、私が支払った高額なものは、術後の歩行に必要だった患足に装着する固定具費が15万円。着替えの洗濯ができないひとり暮らし患者に必要な衣料のレンタル代が5万円。前者は保険適用なので申請しましたが、還付されるまで数か月かかるようです。高額医療費は確定申告で申請中です。
なお退院直後の私に求められた、医療に関するその他の事後処理は、介護保険を申請する手続きや、地域支援センターの担当者との話し合いでした。これらをひとりで処理していくのは、精神的荷も負担が大きいものではありましたが、たとえば医療器具が必要な場合などは、支援センターを介して、松葉づえや歩行器など必要に応じてレンタル(有料)することができました。そうした公的なサービスは、単身者にとっては安心感を与えてもらえるものだと思いました。
