2024年のマーケティングおよびメディア業界は、テクノロジーや市場環境の急速な変化を受け、これまでの慣習や枠組みに頼らない柔軟なアプローチが求められるようになった。7月に発表されたChromeにおけるサードパーティCookie廃止の撤回をはじめ、AI活用が実践フェーズに突入したことでデータドリブンな戦略がさらに重要視されるなど、手法が大きな転換期を迎えたことは明らかだ。こうしたなか、Digiday Japan恒例の年末年始企画「IN/OUT 2025」では、当メディアとゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブにアンケートを実施。2024年をどのように総括し、2025年に向けてどのような挑戦と成長のビジョンを描いているのか、その想いに迫った。株式会社三栄で、デジタル戦略局チーフディレクターを務める林野吉氏の回答は以下のとおりだ。

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――2024年のもっとも大きなトピック・成果は何ですか。

2023年に続いて、今年も生成AIを使ってのコンテンツ制作、SEO対策はメディア運営に欠かせない実務となってきたと感じる。運用側、編集側も絶え間ないアップデートが必要ではあるが、生成コンテンツの「圧倒的効率性」と、数値になりづらい「オーディエンスが感じる良質さ」という2つの要素は、さまざまな視点から検証していく必要がありそうだ。また、GoogleのCookie廃止撤回は、メディアと広告の立ち位置を考えるひとつの機会となった。アドベンダー各社と「データクリーンルーム」等について検討をしたが、メディアとユーザーの関係の重要性を理解していないと感じられる残念な提案もあり、あらためて収益事業としてのメディアの選択肢を考える必要を感じた1年でもある。

――2025年に向けて見えてきた課題は何ですか。

「いかに創るか」だけではなく「いかに届けるか」という、ある意味オーディエンス、ユーザーの行動に寄り添ったコンテンツのスタイルがメディアにとって重要な課題になると考えている。我々は雑誌メディアのブランドからスタートしているが、オーディエンスの行動の変化、UGCプラットフォームの役割の拡大など、旧来の「メディア在りき、記事在りき」の理論だけでは集客しづらくなってきている点を感じざるを得ない。広告代理店のデジタル売上のかなりの部分が、予約広告ではなく運用広告に占められるようになったというのも、メディアの指向よりも属性に対するリーチが重要度を上げている例ではないか。ただ、こういった環境にあってもメディアが得意とするのは「ファンの熱量を上げる」コンテンツ創作であり、それらをテキスト、動画などどんなスタイルで、どう届けるのか、サブスクリプションやリアルイベント配信、SNSまで広範囲に再考していきたい。

――2025年にチャレンジしたいことを教えてください。

面の占有で有益を得る広告だけに頼らず、コンテンツ自体の価値が対価を生むメディア本来の価値、収益構造について、あらためて徹底的に向き合っていきたい。AI生成コンテンツ、ショート動画など、多様なテーマでオーディエンスが受け取る最適なコンテンツは何か。そもそもカルチャーや行動様式が激変しているなかで簡単に答えの出るテーマではないが、メディア、広告の運用に関わる多くの方々とぜひ議論していきたい。

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