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 【室井昌也コラム 月に2回は韓情移入】毎年2月の春季キャンプ。四国、九州、沖縄には温暖な気候と整った練習施設を求め、韓国KBOリーグの球団が訪れる。今春は10球団中6球団が来日した。その春のキャンプだけではなく10、11月もKBOの選手たちが日本にやってくる時期だ。

 現在、宮崎県内各地で行われている秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」には今回サムスンライオンズ、トゥサンベアーズ、ハンファイーグルスの若手選手たちが参加。KBOのチームは今年で21回目となるみやざきフェニックス・リーグに、第3回(06年)から加わっている。

 そして秋のキャンプ地として日本を選ぶケースもある。今年新たにKBOチームの練習場所となったのが和歌山県の南部、西牟婁郡(にしむろぐん)の上富田町(かみとんだちょう)。南紀白浜空港やテーマパーク「アドベンチャーワールド」がある白浜町に隣接する人口約1万5700人の町だ。

 同町の上富田スポーツセンター野球場は社会人野球の西濃運輸野球部が20年にわたり春のキャンプで利用。例年、阪神のホームゲームとしてウエスタン・リーグ公式戦も行われ、さわかみ関西独立リーグ・和歌山ウェイブスの開催球場の1つにもなっている。

 今回、上富田で秋季キャンプを行うのはKTウィズ。今季は公式戦5位でポストシーズンに進出し、ワイルドカード決定戦を勝ち抜いて準プレーオフまで進んだ。チームを率いる李強竽(イ・ガンチョル)監督は、23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国代表監督も務めた。秋季キャンプでも指揮を執る。

 同施設を運営する、一般社団法人南紀ウエルネスツーリズム協議会のゼネラルマネジャー・嶝(さこ)和晃さんはKTキャンプの受け入れについて「複数のやり取りがつながってご利用いただくことになりました。初めて韓国のプロ野球チームがいらっしゃるということで不安と楽しみが半分ですが、ご要望に柔軟に対応しておもてなししたいです」と話す。

 同地には野球場だけではなく人工芝の多目的グラウンド、屋内イベント広場、トレーニングジムも敷地内に備えている。昨年、7人制ラグビーの韓国代表チームが大阪でのアジア予選の直前合宿地として利用するなど、海外チームの受け入れ経験もある。

 キャンプ地はただ場所を貸すだけではなく、事前の準備が欠かせない。「通常11月初旬までは冬芝の養生期間にもなりますが、今回受け入れをさせていただきたいと思って一部早めに種まきをするなど進めてきました。施設の組み合わせやグラウンドのレベルなどもキャンプ地として認めていただけたのだと思います」(嶝さん)

 KTは秋季キャンプを日本と韓国の2班に分けて実施。上富田キャンプには1軍首脳陣、若手選手に加えて一部の1軍主力選手を含む26選手が参加している。10月21日から11月18日まで約1カ月行われる。