50〜60代の就職・転職「賃金低下」の実態…中高年がこれから直面する「厳しすぎる現実」

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年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。

10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。

定年後の仕事を考えるうえで、転職の実態を把握しておくことは重要だろう。

厚生労働省「転職者実態調査」のデータから、賃金の実態が見えてくる。

〈40代前半までは、転職で賃金が減少してしまう人よりも、転職が賃金の増加につながる人のほうが多い。

たとえば20代前半では、46.5%の人が転職によって賃金が増加したと答えており、その割合は減少したと答えている人(33.2%)より多く、増加した人の割合から減少した人の割合を引いたDI(Diffusion Index)はプラス13.3%となっている。

一方で、50代の賃金増減DIは、50代前半でマイナス26.2%、50代後半でマイナス17.8%と、50代になると賃金が減少する人のほうが多くなる。

最もDIが落ち込むのは60代前半でDIはマイナス46.6%、転職で賃金が増加した人の割合は14.7%まで落ち込む。〉(『ほんとうの定年後』より)

定年後、仕事をどう探すか?

さきほどのデータから、中高年の転職が厳しいものであることがわかった。

さらに、厚生労働省「雇用動向調査」からは、転職者の入職経路を知ることができる。

〈定年後、特に60代前半の人については、前の会社からの縁故によって就職が決まるケースが多いということである。

これには同じ会社で再雇用されるケースが多く含まれている。

(中略)

ほかの年齢層と比較してハローワークを通じて仕事を見つける人が比較的多い。

そのほかも、求人情報誌やインターネットの求人情報サイトを見て新しい仕事に応募するといった「広告」による経路や、知人や友人に紹介してもらうというケースも多い。〉(『ほんとうの定年後』より)

定年前後の転職で賃金がどうなるのか。多くの人はどのように定年後の仕事を探しているのか。

50代以降は転職しても賃金が下がることが多いようだが、そうしたことも知ったうえで、「定年後のキャリア戦略」を考えたいところだ。

つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。

多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体