時速500kmで日本列島を駆ける…「夢の乗り物」から現実の世界へ「リニア」の乗り心地

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「浮上走行」の感覚

時速500kmの世界が目前にーー。

10月17日、JR東海が開業を目指す「リニア中央新幹線」に、「現代ビジネス」編集部が体験乗車した。現在、JR東海のリニアは山梨県都留市にある施設を中心とした実験線で走行実験を繰り返し、耐久性や乗り心地などの向上につとめている。

遡れば国鉄時代1962年から研究改良が続けられているリニア技術。今回編集部が乗車したのは「L0系改良型試験車」だ。

新幹線「N700系」と比較してもずっと長いノーズが特徴だが、車体に施されたブルーのラインは、やはり東海道新幹線を彷彿とさせる。

山梨県笛吹市境川町から上野原市秋山にまでわたる42.8kmの実験線は、品川ー名古屋間を結ぶ路線の一部として利用される予定だ。乗車し、座席から車窓をながめると、新緑の景色が拡がり、東海道新幹線よりも山あいの地がルートであることを実感する。

超電導電磁石を用いた浮上走行が特徴のリニアだが、時速150km未満では車輪が軌道をとらえる。それ以上に加速すると車輪は収納され浮上走行が始まる。飛行機が離陸する時に似たような浮遊感を覚え、走行音や振動がふっと消える。ヘッドフォンのノイズキャンセリング機能をオンにした時のような感覚だ。

時速500kmの世界

リニアはその後も加速を続けていき、現行の新幹線の最高速度(の目安)である時速320kmをゆうに超え、時速500kmに達した。

時速500kmの浮上走行は、他のどんな乗り物とも違う静けさが伴う。乗車する前は急加速による圧迫感を懸念していたが、実際にはシートに押し付けられるような感覚はない。むしろ揺れが少ないぶん、快適に過ごすことができた。

リニア中央新幹線が開業すれば、品川ー名古屋間を最短40分で結び、旅や物流の概念は大きく変わることになるだろう。東海道新幹線「のぞみ」は1時間に最大12本(5分間隔)で運転しており、「日本の大動脈」となっているが、今後は南海トラフ巨大地震の発生も危惧されるなど、二重系化は解決しなければならない課題でもある。

すでに品川ー名古屋両ターミナル駅の工事は進行しており、「未来の技術」と言われて久しいリニアは現実のものになっている。

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