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公共交通の空白地帯で地域住民の足として新たに走り出した「AIデマンドタクシー」、新しい公共交通として定着するのか。現場を取材しました。

【写真を見る】バスとタクシーの間?公共交通ゼロの地域で運行 1日300円で乗り放題の『AIデマンドタクシー』とは?

停留所間を運行する「バスのようなタクシー」

「AIデマンドタクシー」とは利用者の予約に応じて停留所間を運行する、タクシーと路線バスをかけあわせた新たな公共交通です。

同じ時間帯に予約した人が複数いる場合は、1台のタクシーにより多くの人を乗せるためにAIが最適なルートを設定します。

タクシー運転手「(タブレットに)ルートが出てくるんですよ、ここが(利用客の)お迎え先ですよっていうのを見る感じですね」

AIの導入により、客を乗せていないタクシーを有効に活用することができます。

タクシー運転手「午後2時半から午後3時10分、40分ぐらい空きがあるので、その間に行ける範囲のお客様の連絡があれば、随時入ってきます」

利用者の一人に話を聞きました。

「このタクシーがあれば自分で買い物に」

熊本市が西区と南区の一部で運用するサービス「チョイソコくまもと西南」。利用者の一人、冨永満代さん(84)は、週に1回ほど、病院や買い物に行くためサービスを利用しています。

冨永満代さん「都合のいい時間に空いていれば、利用するという感じですね。普通のタクシーは結構お金がかかりますよね」

利用料は大人一人 1日300円。

家から歩いていける場所に路線バスの停留所がなく、目が不自由な冨永さんにとっては、大切な交通手段です。

冨永満代さん「助かっていますね。買い物に自分で行けないもんだから、このタクシーがあれば自分で買い物に行けるし」

停留所は341か所も

熊本市では、利用者の減少や運転士不足により、路線バスの運行エリアが減少しています。

熊本市 移動円滑推進課 徳田隆宏課長「公共交通空白地域での運行をほぼ前提としているので、公共交通を利用しにくい方を駅とかバス停とかに接続させることが目的」

公共交通機関の空白地域を埋める。そのため、サービスの特徴の1つが停留所の多さです。

記者「住宅街のごみ置き場に停留所が設けられています。こちらの停留所から一番近い停留所まで歩いてみましょう」

実際に歩いてみると…場所によっては、停留所の距離が100メートルもない所もありました。

運行エリアに設置された停留所は現時点で341か所。※2024年10月15日時点

停留所は、住民の要望や利用状況によって随時変更されています。

高齢者の生活を支えるため、ますます重要度が増す地域交通。AIデマンドタクシーは新たな一手となるのか、模索が続きます。

熊本市 移動円滑推進課 徳田隆宏課長「地域の最低限の移動を支えるという目的で導入していますので、持続可能性も踏まえて今後運行台数などは検討して行きたいなと」

従来の「乗り合いタクシー」との違いは?

これまでの乗り合いタクシーは、路線バスの代わりとなるもので、「事業者側の負担軽減」という側面が強く、利用者にとっては時刻やルートが決まっていて停留所も少ないことが課題でした。

熊本市内での利用者数は、従来の乗り合いタクシーが年間300人未満だったのに対し、今回取材したAIデマンドタクシーは1か月で800人以上と、利用者にとっては使い勝手のいいサービスのようです。

しかし、サービスの維持には事業者側が継続していけるかが鍵となりそうです。