異業種からも続々参入…じつは儲かる「クレーンゲーム」ビジネスブーム、気になる「火付け役」の名前

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「クレーンゲーム」ビジネスブームの火付け役

マルハン、ローソン…いま異業種から「クレーンゲーム」ビジネスへの参入が相次いでおり、高い利益率が期待できるビジネスであることは前編記事〈じつは儲かる…?いまローソンやマルハンが「クレーンゲーム」ビジネスに手を出すワケ〉でお伝えした。

そんな「クレーンゲーム」ビジネスブームの火付け役はGiGOブランドを展開する「GENDAグループ」であると筆者は考える。同社は、コロナ禍中に苦境に陥ったセガのアミューズメント事業を買収し、アフターコロナにおいて収益を大幅に回復させたことで大きな注目を集めた。

同社の最新決算報告をみると、クレーンゲームを中心としたアミューズメント店舗の運営から、クレーンゲームの景品を制作する会社をM&Aするなどしてクレーンゲームのエコノミー全体を取り込みつつある。

そんな「GENDA」はミダスキャピタルという投資ファンドを率いる吉村英毅氏の有限責任組合が筆頭株主で、株式の35%超を保有する企業だ。同社は、自社の成長シナリオをM&A等による規模拡大と述べており、元々は投資ファンドとしての側面が強い企業だった。

GENDAは、投資ファンド企業としての立場や、コロナ禍という時流を読んだ上で、割安評価のクレーンゲームビジネスに注目し、異業種として買収を仕掛け、エンターテイメント企業に変貌した、という見方の方が正しいのかもしれない。

クレーンゲームの進化と「今後の課題」

今後、クレーンゲーム市場はさらに拡大し、多様な業態において導入が進むと考えられる。ローソンの例が成功すれば、クレーンゲームはただ儲かるだけでなく、顧客との新たな接点や来店動機を提供するマーケティングツールとしても機能することが明らかになるだろう。

そうなればさまざまな空きスペースを有しているさまざまな異業種企業がクレーンゲームの導入を進めていく可能性がある。

しかし、クレーンゲームを活用した安易な拡大と利益追求の姿勢には注意も必要である。クレーンゲームは「たった100円で市場価格の高い景品を獲得できるかもしれない」という「射倖心」を煽る側面があり、ギャンブル的な要素がないわけでもない。

巷のクレーンゲームをみると、一見、バランスが不安定で「もう少しで取れそう」と感じさせる設定の台は少なくない。しかし、巧妙なバランスでなかなか取れないことで、プレイヤーが何度も挑戦してしまう設計になっている。

たとえば、パチンコ業界では法律に基づき、台ごとの利幅が一定範囲内に収まるような仕組みが導入されている。しかし、クレーンゲームでは景品の仕入れコストにかかる規制はあるものの、顧客がどれだけ損を重ねるような設定にしても、それを直接的に罰するような仕組みはない。

ローソンやマルハンがクレーンゲーム市場に参入している背景には、低コストで高収益を見込めるビジネスモデルの魅力がある。小売業やパチンコ業界における低利益率に対し、クレーンゲームは少人数で運営でき、利益率も高いため、多くの異業種が注目している。

しかし、その一方で、射倖心を煽る特性を持つため、消費者保護のための適切な規制が今後の課題となるだろう。クレーンゲーム市場が拡大する中で、消費者保護と収益性のバランスを取るための取り組みが求められる。

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