東証プライム市場は「4年連続の最高益」か…日本株、これから「上方修正」に期待大の「プロ厳選銘柄5選」を実名紹介

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東証プライム市場に上昇する3月期決算企業の中間決算シーズンが10月下旬より本格化する。会社側による25年3月期計画の集計値からは、3年連続の過去最高益となった前24年3月期からは一転して、5年ぶりの減益に落ち込むとの見通しだ。

もっとも期初時点の会社側計画が保守的な内容であることは言うまでもない。事前に想定できるリスクを予め厳しめに見積もることで、まさかの下方修正に見舞われるリスクを極力避ける狙いがあるからだ。

実際、会社側による業績見通しこそ減益だが、大手証券をはじめとする調査機関の予想では前期比5〜7%程度の増益を見込むものが多い。会社側も第1四半期(1Q)を通過したばかりでは、ほとんどが今期予想を据え置いたままでいるが、今後の事業環境に大きな変調がない限り、全体では4年連続の最高益へ転じる可能性は高いとみられ、中間決算を経て業績の上方修正へ踏み切る企業の数も増える期待がある。

特に1Q終了時点で貯金を多く稼いでいる企業には、あらためて注目したい。たとえば期初計画に対する経常利益の進捗率が極めて高い企業だ。四半期分の単純なノルマである25%を大きく上回り、現在も良好な事業環境が続いている企業ならば、中間期以降も勢いそのままに上方修正へ踏み切る期待があろう。

三井金属鉱業(5706)

■株価(10月11日時点終値)4983円 1Q経常利益進捗率 54.6%

亜鉛製錬で国内最大手の三井金属は、極薄銅箔の世界市場でほぼ独占的なシェアを誇っている。極薄銅箔(製品名「MicroThin」)を使うことにより、微細な回路形成を可能とするほか、プリント基板内のばらつきを抑えることができるなど、品質向上へのメリットは大きいことからサーバー、スマホのカメラ、AI(人工知能)向けに需要と用途が拡大している。

半導体メモリ市場の回復が急速に進んでいるほか、メモリ規格自体が進化を遂げている点も追い風となるだろう。従来の主流であるDDR4に比べて高速かつ大容量なDDR5は、極薄銅箔の使用量を1割ほど増やす必要があるとされている。

亜鉛、インジウム市況が想定を上回って上昇していることでは、25年3月期の経常利益には在庫評価益も加わる期待が持てる。これに関してはコストアップ要因ともなりうることだが、支配的なシェアの高さからは価格転嫁が可能であることが強みとなるだろう。

東和薬品(4553)

■株価(10月11日時点終値)3160円 1Q経常利益進捗率 44.8%

後発薬(ジェネリック医薬品)では国内3位ながら、業界内で最も多くの医薬情報担当者(MR)を抱える直販体制を強みとしている。2027年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、連結売上高を2024年3月期比で3割増となる3,000億円に引き上げる目標を掲げている。

足元では直近の新製品投入が好調に推移しているほか、同業他社による品質問題で後発薬の需給が逼迫(ひっぱく)していることも追い風となっている。同社も山形工場で増産投資へ踏み切っており、新工場棟の稼働によって2026年度までに生産能力を2023年度末から25%引き上げる計画だ。

10月1日から医療制度の一部が変更されたことで、医療上の必要性などがないにもかかわらず先発医薬品の処方を希望する場合の自己負担額が引き上げられたことも追い風となる。後発薬が処方されない場合は差額の25%が自己負担となるため、後発薬への切り替えが進む期待は大きいだろう。

東洋合成工業(4970)

■株価(10月11日時点終値)7940円 1Q経常利益進捗率 40.7%

半導体の微細化が進む中、同社の高純度溶剤や感光性材料の需要も高まっている。特に最先端の半導体製造で必須となるEUV(極端紫外線)レジストや ArF(フッ化アルゴン)レジスト向けの出荷は絶好調だ。

前24年3月期は半導体業界の調整を受けて大幅減益に見舞われたが、今期は大きな巻き返しが期待できそうだ。半導体の超微細加工では、線幅がナノ(10億分の1)メートル単位で細くなるにつれて、使われる感光材にも極限レベルでの高純度な材料が必要となってくる。半導体メーカーごとに材料の仕様も異なることから、技術力の高さだけでなく、多品種・少量生産体制を持つ同社のシェアは高まりやすい方向にある。

スマホやパソコンへAI機能が組み込まれている最近のトレンドも追い風となりそうだ。メモリ搭載容量が増加すれば、同社の手掛ける半導体材料の需要も拡大する傾向にある。新工場の関連コストが一巡する来26年3月期以降は、業績のさらなる飛躍が期待できるだろう。

三井E&S(7003)

■株価(10月11日時点終値)1181円 1Q経常利益進捗率 48.1%

港湾用クレーンの国内最大手の同社は、米国の港湾インフラ投資の拡大により大きな成長機会を迎えつつある。米国のコンテナ積み下ろし用クレーンの約8割は中国製が占めているとされるが、ここにきて中国の物流管理システム「LOGINK」により機密データが悪用された場合の安全保障上の脅威が懸念されはじめている。

11月には米大統領選挙を控えているが、どちらに転んでも対中強硬姿勢が続く公算は大きく、欧州や日本などの同盟国にも中国製品からの切り替えが求められる公算は大きい。三井E&Sは米国の補助金対象となる部品の調達率55%以上の目途を立てており、クレーン需要の増加が期待されよう。

かつてはプラントや造船事業の不振により、2022年3月期まで5年連続で営業赤字を計上した同社だが、不採算事業の整理や資産売却を進めたことで収益基盤は強化されている。株価は約10年ぶりに回復したPBR(株価純資産倍率)1倍台の定着に期待が持てそうだ。

KOKUSAI ELECTRIC(6525)

■株価(10月11日時点終値)3265円 1Q経常利益進捗率 40.3%

半導体ウエハーに薄い膜を加工するバッチ式原子層堆積 (ALD) 装置成膜装置などを手掛ける同社には、米アプライドマテリアルズが2019年に買収を試みた経緯がある。最終的に中国の独禁法当局の承認が得られなかったことで破談となったが、競合企業がウエハーを1枚ずつ成膜するのに対し、数十枚のウエハーを一括処理できる同社の技術力に対する魅力の大きさを物語っている。

先端半導体では集積回路の密度を上げる微細化や、複数のチップを積み重ねる3次元(3D)化が進んでおり、同社はいずれの複雑な構造にも対応できる強みを持つ。会社側もより先進的な半導体技術への需要を取り込むことを目指しており、AIの普及に伴って成長ポテンシャルはさらに高まっていきそうだ。

1Qの高進捗率を達成した背景には、中国向けの納期前倒し出荷も大きく寄与している。米国の対中輸出規制が強化される中では、下期以降は一時的に鈍化する場面も想定されるが、先端半導体向けの装置需要で補うことは十分に可能とみている。

外国為替市場では、8月に一時1ドル=141円台まで円高が進む場面がみられるなど、1Q(4−6月期)と比べて足元の円安効果は大きく剥落した。プライム上場企業全体の今期の想定為替レートは1ドル=約145円とみられ、今後は円高方向へ想定を見直す企業も増えるかもしれない。ほかにも米国景気の減速懸念や、上昇が続く原材料コストなどへの警戒も必要となりそうだ。それでも堅調な利益水準を確認して折り返し地点を通過できた場合、後半戦はよりリアルな利益計画を掲げてゴールを目指す展開が期待できる。

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