ミャンマー戦に燃える西原。持ち前の打開力でアピールできるか。写真:松尾祐希

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 かつてともに戦った仲間たちが、世界の強豪国を相手に躍動している――。

 MF西原源樹(清水ユース)は、その姿を画面越しに見ることしかできなかった。昨秋のU-17ワールドカップに出場できなかった悔しさは今もある。だが、それはもう過去の話。J2で実績を積み、自信を深めた男は自らの成長を示すべく、再びアジアの戦いに足を踏み入れる。

 U-20アジアカップ予選(U-20ワールドカップの1次予選)を戦っているU-19日本代表は9月26日、ホスト国キルギスの首都ビシュケク郊外でトレーニングを実施した。

 4チーム総当たり方式の今予選は、各組の1位と2位の上位5チームが来年2月に開催されるアジアカップ本大会の出場権を獲得できる。日本は25日の初戦でトルクメニスタンに2−0で勝利。幸先の良いスタートを切り、次は27日にミャンマーと相まみえる。

 中1日で迎えるミャンマー戦に向けたトレーニングでは、トルクメニスタン戦で先発した11人と、後半開始から出場した右SB布施克真(日大藤沢高)とFW横山夢樹(今治)はホテルでリカバリーとなり、残る10名で1時間ほど汗を流した。

 そのなかで次戦に向けて、闘志を燃やす選手がいる。今シーズンは2種登録ながらJ2の舞台で2ゴールを決めている西原だ。キレのあるドリブルが持ち味のアタッカーで、縦突破とカットインを武器に局面をひとりで打破する力を持つ。

 クラブでメキメキと頭角を現している俊英は、シーズン前のキャンプからトップチームに帯同していた。「キャンプで積極的に仕掛けたら、通用するという手応えがあった」という西原は自信を深め、秋葉忠宏監督からも高い評価を受けた。すると開幕から重宝されて、6月にはプロC契約を締結。高校3年生ながらリーグ戦でここまで16試合に出場している。

「自分的にはまだまだ。だけど、Jリーグに出させてもらっているのは非常に良い経験になっている」
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 そんな西原だが、人知れずU-17世代では涙を流してきた。

 2022年の10月。西原は翌年のU-17ワールドカップを目ざすチームに招集され、U-17アジアカップ予選(U-17ワールドカップの1次予選)を戦った。だが、以降はチームで思うようにパフォーマンスが上がらず、代表からも遠ざかる結果に。昨年6月のU-17アジアカップ、同年秋のU-17ワールドカップに出場することは叶わなかった。

「選ばれなかったので、本当に悔しかった」

 その経験を糧に西原は努力を重ね、課題だったフィジカル面も徹底的に鍛錬。当たり負けすることが減り、得意のドリブルで突破できる場面が増えた。

 悔しさを力に変え、再び日の丸を背負って戦う機会を得た。あの想いは味わいたくない――。トルクメニスタン戦は出番がなかっただけに、ミャンマー戦は自身の価値を示す場となる。

「個人で打開したい。ただ、無理だったらうまくチームメイトを使って切り開く。その使い分けができたらと思う」

 チームのためにも自身のためにも負けられない。這い上がってきた西原は誰よりも結果にフォーカスして戦う。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)