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●FRBが0.5%の大幅利下げに踏み切る

 FRB(米連邦準備理事会)は18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.5%の大幅利下げを決定した。利下げは4年半ぶりとなる。

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 米国景気が大幅利下げによって守られるというソフトランディングへの期待から、NYダウ・S&P500ともに終値で最高値を記録。翌日の日経平均も一時1000円超値上がりし、ドル円も円安に進んだことで恩恵を受けた。

 少し前までは大幅利下げが警戒され、株価も下落する場面があったが、豹変したかのように市場で利下げが期待・好感されるのはなぜなのか?

●注目される追加利下げ

 今回の利下げがタカ派なのかハト派なのかは、意見が分かれる所である。

 FRBのパウエル議長は、今後もデータ次第で利下げを早めたり遅らせたり、停止することもあると発言している。

 8月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が14万2,000人にとどまった。6、7月の就業者数の増加も下方修正されたことで労働市場の悪化もあったが、今後も労働市場が追加利下げのペースに影響を与える可能性がある。

 年末までに0.25%の利下げが2回予想されており、1年間で1バー線との利下げが見込まれる。

●利下げで再びリスクオン?

 インフレへの懸念から、0.25%の小幅利下げに止まるという予想も多かったが、足元の米国景気は依然好調を維持しているという見方に、確信を持ったかもしれない。

 FRBも危機的状況ではなく、ソフトランディングであることを再三強調しており、市場との対話がうまくいっているとも言える。

 利下げによって、住宅購入需要が高まり、投資家がリスク資産へ資金を移動させることで、景気が上向く期待がある。その効果が出るには時間がかかるため、11月の米大統領選挙には直接の影響は出ないかもしれない。

 来年も1%程度の利下げが見込まれているが、急速な利下げはインフレを再加速しかねず、慎重さも求められる。そもそも利下げが遅れたという批判もあり、批判を避けるための拙速な利下げは、裏目に出るリスクもある。

 市場としては今年は半導体などのハイテク株に支えられていた部分も大きく、出遅れていた株に注目が集まるだろうが、景気指数によっては、再び短期的な失望売りにも気を付けたい。