CBを組む平瀬(写真左)とヘナン。各選手が精力的に走る。(C)SOCCER DIGEST

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[J2第32節]千葉 4−1 山口/9月21日/フクダ電子アリーナ

 J2において3位から6位のチームが進出できるJ1昇格プレーオフ(1、2位は自動昇格)。レギュラーシーズン残り7試合となったなか、32節、千葉の本拠地で行なわれたのが勝点1差の6位・山口と7位・千葉の直接対決だ。

 ベスト8へ勝ち上がっている天皇杯の準々決勝・横浜戦(ニッパツ三ツ沢球技場)を4日後に控えるなど、厳しい日程が続く山口にとって、負ければプレーオフ圏外へ弾き出される大事な一戦だった。

 もっとも、試合の序盤はシーソーゲームを展開し、86分には途中出場のFW酒井宣福が1点を返すも、1−4で敗れる結果となった。

 それでも「1対4で敗戦したことは真摯に受け止めたいと思います。ただ決して下を向く内容ではなかったと感じます。1対4という形になりましたが、最後は攻めにいった状況での3失点目、4失点目でした。与えてはいけない失点ではあったと思いますが、リスクを冒してでも得点を狙いにいった選手を讃えたいと感じています」と試合後に熱く語ったのは、就任1年目の志垣良監督だ。
【動画】千葉×山口ハイライト
 指揮官の言葉通り、山口の戦い方は好感の持てるものだった。4−4−2のコンパクトな陣形を保ち、守備時には2トップの若月大和、河野孝汰も献身的なプラスバックに行ない、バランスを保つ。

 各選手が攻守に走り回り、愚直に勝利を目指していく。前半も素早い展開からサイドハーフの野寄和哉、山本駿亮らを活かしながらチャンスを作り出した。ボランチの相田勇樹、田邉光平も攻守に関わり、右から前貴之、平瀬大、ヘナン、新保海鈴で組んだ最終ライン、関憲太郎のアクシデントを受けて先発したGK田口潤人も粘った。

 途中出場のMF小林成豪のポストに弾かれたシュートが決まっていれば、また違った展開になった可能性さえあった。

 一方で、これで順位は6位の千葉と勝点2差の8位にダウン。リーグ戦は4連敗となり、前節の清水戦(●1−4)に続く4失点を喫しているのは気になる部分だ。前述したように、中3日で横浜との天皇杯準々決勝も控える。

 それでもリーグ残り6試合、団子状態であるだけに、まだチャンスはあるは違いない。

 志垣監督も「ジェフさんに負けてプレーオフ圏から外れてしまったというところでは、守るベきものはなくなりましたので、あとは上を追いかけるだけです。残りのシーズン、前を向いて前進し、最後まで戦って一つひとつ勝点を積み重ねていくだけだと思います」と意気込む。

 ちなみにその指揮官は「以前はジェフでコーチをさせていただきましたが、2012年にプレーオフの決勝で大分に負けて、スタッフが全員退任という非常に悔しい思いをしました。ジェフをJ1に上げられなかったという悔しい気持ちもあり、眠れなかった時もありました。その挫折を味わって、リバウンドメンタリティを持って今までやってきたつもりです。選手も私もここからもう一回這い上がって、強い気持ちで前進していきたいと思います」と話したのも印象深い。

 特出したタレントはいない。それでもクラブ一丸となって、反骨心を持って、挑んでいくのが山口というチームだろう。

 指揮官を筆頭に、リーグ残り6試合で熱い戦いを見せてくれることに期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)