3回、レフトへ3ランを放つ井上(撮影・伊藤笙子)

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 「DeNA5−6阪神」(21日、横浜スタジアム)

 また横浜の空に美しいアーチをかけた。阪神・井上の放った打球が黄色く染まる左翼スタンドに吸い込まれる。三塁ベンチの前でとびきりの笑みがはじけた。

 「つないでくれたので、何とか一本というところで打てたので良かったです」

 前夜、前川が4安打2打点を記録していたが、相手先発の左腕・浜口に対して5試合ぶりにスタメン起用された。1点先制した三回2死一、二塁。「チャンスだったらかえす」と高めの直球に食らいついた。左翼席ギリギリに飛び込んだ一発は、岡田監督の起用に応える今季3号3ランに。「ファーストストライクから思い切ってスイングしていけたことが良い結果につながった」と胸を張った。

 1軍では北川2軍打撃コーチの“愛のゲキ”にも応え続けている。8月下旬、小野寺が昇格した際に、井上は北川コーチから厳しい言葉をかけられた。「なんで、お前じゃなくて暖(小野寺)だと思う?やっぱり打てないと思われてるんだよ」。それなりの数字を残していても、インパクトが物足りなかった。

 その上で言われたのが「とにかく真っすぐを打て」。変化球は対応できる。「変化球の空振りはOKくらいの気持ちでいけ」と直球を仕留める打撃を求められた。1軍昇格後、放った3本塁打はすべて直球。北川コーチの言葉を胸に、インパクトを残し続けている。

 横浜ではめっぽう強い。8月28日、東からプロ1号を放ったのも横浜スタジアム。同球場では今季19打数8安打の打率・421、2本塁打、6打点と敵地ながら“庭”と化している。「壮さん(筒井外野守備走塁コーチ)からは、『相手ピッチャーを見とけよ』と言われているので、しっかり見て」と、その要因を明かした。

 前川に負けじと結果を残し続けている井上。「残り試合も少ないので、自分が出る時にどれだけ結果が出せるかが大事。右左関係なく頑張っていきたい」。甲子園に戻り迎える巨人との“天王山”でも、強烈な打撃を見せ続けていく。