またも日大で不祥事《10年で4000万円をダマし取った》重量挙部監督の「ヤバすぎる素顔」…学費免除のスポーツ特待生から授業料などを「不正徴収」していた

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被害額255万円…重量挙部OBの告白

「報道を見て慌てて母親に電話したら、『実は255万円も支払っていた』と言われ、愕然としました。大学在学中から今にいたるまで、私の学費はタダだったと思い込んでいましたから……」

こう話すのは、10年以上前に日本大学を卒業した重量挙部OBである山田さん(仮名)だ。

日大が重量挙部の不祥事を公表したのは7月12日。日大のHPによると、重量挙部の幹部Aは昨年12月までの10年間にわたり、スポーツ特待生として入学金や授業料を減免されている入学・入部予定者の保護者に対し、「納付金の免除は2年目から」などと虚偽の説明が書かれた入学案内と納付金の請求書を送付し、部の口座に振り込ませていたという。この幹部が騙し取った入学金や授業料は1年で400万円、少なくとも10年で4000万円に上るというから悪質だ。

冒頭の山田さんも被害者の一人だ。山田さんはインターハイ3位の実績を買われ、「学費免除」と誘われて日大に入学した。

「重量挙部は大学日本一を目指す名門であり、明治や法政、中央といった偏差値やブランド力で勝るライバル大に対抗するために『全額免除』を売りに選手を勧誘していました。私自身、他大学からも誘われていましたが、全額タダだと聞いてほかの大学の話を断りました。

母によれば、いざ入学が決まると、親に入学金と授業料の請求があったとのことです。母は『全額免除と聞いていたのにどういうことか』と問い合わせましたが、難波謙二監督から『同期には特待生ではない学生もいます。部員を平等に扱いたい。そこで、皆さんにお願いをしているんです』などと説明されたそうです。

母は納得できない部分もあったそうですが、その時点ではほかに選択肢はありません。入学金など請求されたお金は部から指定された『日本大学重量挙部』名義のゆうちょ銀行の口座に振り込んでいたそうです」(山田さん)

学内を牛耳っていた田中派の生き残り

日大のHPでは<同部幹部A>とされ、実名は公表されなかったが、当該の<幹部A>は難波監督であり、一部では実名が報じられた。いったいどんな人物なのか。

「日大において、各競技の監督を務めるのは、その競技でトップの実績を持つような方ばかりですが、難波先生の現役時代の実績は際立ったものではありません。大学卒業後、山形県の中学校で保健体育の教員を2年間務めた後、日大から『戻ってこないか』との誘いがあり、指導者の道へ。日大のみならず、他大学の講師もしながら重量挙部のコーチを務めていました。

当初は運動部の関係者に過ぎなかったわけですが、やがて本部の教員になり、私が在籍していた頃は生物資源科学部の助教授でした。すでに現場の指導はほかのコーチに任せており、年に数回顔を見せる程度でした。

上昇志向は強かったと思います。一方で、社交的な性格であり、いろいろなところに顔を出して『〇〇さん、いつもありがとうございます』と頭を下げていました。

難波先生といえば、金回りのよさも評判でした。当時はまだ助教授でしたが、BMWの最高級クラスであるM5に乗っていました。試合会場にもM5で乗りつけていましたが、『助教授なのに、なぜMシリーズに乗れるんだ』と疑問に思ったものです」(山田さん)

長らく日大を支配していた田中英壽元理事長体制下では体育会出身者が主流派となり、出世してきた。難波氏もいわゆる田中派の一人だったという。日大関係者はこう明かす。

「田中派の教員・職員は田中元理事長の妻が経営していた阿佐ヶ谷にあるちゃんこ屋に足繁く通っていましたが、難波氏も学部の職員らと訪れていました。

生物資源科学部の教授に就任したのは2011年です。重量挙部の学生は、生物資源科学部が受け皿となってきましたが、難波氏は学部内でも力を持っており、学内の食堂などを請け負う業者についても口を出していたと聞いております」

恩師への複雑なお思い

難波氏が田中派であることは重量挙部の学生にも周知の事実だったという。

「相撲部の田中先生、アメフト部の内田(正人)先生、そして重量挙部の難波先生。この3人は親しかった印象です。重量挙部がインカレ優勝したときの祝勝会が日大本部で開催されましたが、田中先生、内田先生も来場されていました。

重量挙部の学生は相撲部の応援に行かされることも多く、またアメフト部とは同じ場所でトレーニングしており、重量挙部の部員がアメフト部に選手として一時期所属していたこともあります。

私にとって日大重量挙部で過ごした日々は誇りです。難波先生には声をかけてもらった恩もあります。学業の面でも、難波先生は各教科の先生に根回しして、部の学生が単位を取りやすい状況を作ってくれていました。難波先生のことを悪く言うOBは少ないと思います。

一方で、裏切られたという思いもあります。当時は知りませんでしたが、親は私の学費のために仕事を増やしていたそうです。親が被害に遭ったという部分では怒りや悲しさもあります。難波先生なのか、大学なのか、この部分はわかりませんが、親が支払ったお金については一日も早く返金してもらいたいです」(山田さん)

後編記事『「日大側の主張は事実無根」…スポーツ特待生から学費をダマし取って解雇された重量挙部監督の「呆れた言い訳」』では、日大から懲戒解雇された難波氏側の主張を紹介しています。

「日大側の主張は事実無根」…スポーツ特待生から学費をダマし取って解雇された重量挙部監督の「呆れた言い訳」