日本経済新聞社

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「子煩悩なタイプ」

 8月26日、日本経済新聞社の記者である花澤葵容疑者(33)が、他の報道機関に所属する30代の男性記者・A氏に「会いたい」などのメッセージを執拗(しつよう)に送ったとして、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕された。しかし、関係者の間では、被害者とされる男性のほうがひどいと話題に……。【前後編の後編】

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【写真を見る】スカートにハイヒールという「記者らしからぬファッション」でも注目されていた花澤容疑者

 前編【「既婚者の上司、同僚女性と三角関係に」 ストーカー容疑で逮捕の日経女性記者、過去にうわさになっていた男性トラブルとは】では、花澤容疑者が過去に赴任先で起こしていたトラブルなどについて報じた。

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 一方のA記者は中国地方の出身。愛媛大学法文学部を卒業し、2009年に朝日新聞に入社した。

「彼は学歴にコンプレックスを抱いていました。“俺は地方大学の出身だから出世が遅い”と、よく愚痴をこぼしていたのです。本当の理由はよく分かりませんが、たしかに本人が言うように、東京の政治部に上がってきたのは19年ですから、けっこうな時間がかかっています」(在阪記者)

 京都など二つの支局を経て、三つ目の赴任地である大阪では活躍した。

「出世は遅かったが結婚は早く、最初の支局で現在の奥さんと出会っています。ある史跡の取材をした際、そこで知り合った彼女から猛アプローチを受け、結ばれたといいます。すぐに子宝に恵まれ、3児のパパに。大阪府警の2課担当だった際は投資詐欺事件の取材を立件前に進めてスクープを放つなど頑張っていましたが、それでも休日は家族と過ごす子煩悩なタイプでした」(同)

“モテ”を意識していた?

 大阪府警での功績が認められて念願の東京本社政治部への配属がかない、外務省を担当した後の20年春から“総理番”を務めた。以降は自民党担当として生前の安倍晋三元首相や高市早苗氏(63)などの番記者を任され、その後は再び官邸クラブに戻った。

 さる政治部記者によれば、

「Aさんは当時官房長官だった松野博一氏(61)の番記者という重要なポジションに抜てきされましたが、そこで取材対象者に食い込むような目立った功績が残せたわけではなかった。彼が大阪時代に行政を担当していた際の上司が、現在は東京の政治部で強い権限を持っており、抜てきはその方に目をかけてもらった結果でした」

 別の政治部記者も言う。

「普段の彼は官邸クラブのブース席で後輩に対して“給料が下がった”“経費が切れねえ”などと、会社の悪口ばかりを語っていました。声が大きいから、周りによく響くんです。過去の経験などを引き合いにマウントを取りがちで、同僚からはウザがられていましたね」

 ただし、憧れの政治部にやってきたことに誇りを持っており、やる気は見せていたという。

「俺、政局取材は肌に合ってるんスよ」

 よくこう語っていたそう。

「彼はプライドが高く、見栄っ張りなんです。目立たないことを好む人が多い政治部記者の中では、格好がいささか個性的なほうでした。ワイルドなひげ面でストライプが入ったスーツを着ており、今から思えば“モテ”を意識していたのでしょう」(同)

ロマンスカーで不倫旅行に出かけたといううわさが

 そんなA記者は仕事ぶりではなく、花澤記者とのうわさのほうで注目される存在だったようだ。

 関西方面の報道関係者が言うには、

「二人は京都支局にいた頃、多少の面識があったようでした。また、愛媛県で暮らした過去があるという共通項も。周囲に比べて派手めな装いを好む傾向も似ています。総理番として再会を果たした時から引かれ合うものがあり、どこかのタイミングで一線を越えてしまったのでしょう」

 とはいえ、二人の仲が近しくなったのは再会後すぐではなく、21年末〜22年が始まった頃のことだったそうだ。当時、ロマンスカーで不倫旅行に出かけた、などのうわさが新聞記者たちの間で駆け巡ったのだ。中には直接、本人にうわさを確認する強者もいたそうだが、平然と否定されたらしい。

 A記者はその後の昨年9月、突如として政治部から現在の経済部へと異動になった。

「自分のキャリアばかり気にしている」

 この頃にはすでに二人の関係は拗(こじ)れていたとみられており、花澤容疑者の家族が登場する局面も発生していたという。朝日新聞は事情を把握しており、A記者を政治部から外すという最低限の措置を取ったようだ。

 事件の背景を知る社会部記者が言うには、

「花澤容疑者は彼の妻に対して、通信機器を用いてメッセージを送信したことがあったそうです」

 まさにドロ沼の不倫というわけだが、別の社会部記者はこう証言する。

「彼女がAさんからDVを受けて警察に相談したことがある、という話も出ています。その一方で、彼は今回の事件が表面化するまで、政治部に戻る気満々でした。自分のキャリアばかり気にしているようで、人としてどうかと思いました。花澤さんが64回送ったとされるメッセージの中に、“お願いだから一緒に背負ってくれないかな”“死にたい”と悲痛な叫びが残されていたことを、どう思っていたのでしょうか」

 警視庁担当記者はこう語る。

「彼女はメッセージを“受け入れられていると思っていた”と容疑を否認しています。よって、仮にA記者が今も処罰感情を持ち続けている場合、彼女は起訴され、有罪判決を受ける可能性があります。しかし、さすがの彼もそこまでのことはしないでしょう。常識的に考えれば、花澤容疑者に対してこれ以上の制裁は求めず、彼女は起訴猶予となるはずです」  

朝日新聞に聞くと……

 A記者の行為について朝日新聞に問い合わせると、

「お尋ねの件については、お答えは差し控えます。回答は以上です」

 花澤容疑者が犯した過ちは擁護できるものではないが、A記者にも相応の責任があるように見えるのだ。

 前編【「既婚者の上司、同僚女性と三角関係に」 ストーカー容疑で逮捕の日経女性記者、過去にうわさになっていた男性トラブルとは】では、花澤容疑者が過去に赴任先で起こしていたトラブルなどについて報じている。

「週刊新潮」2024年9月12日号 掲載