(写真:時事通信)

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「申し訳ないという思いですね」

9月11日の定例記者会見で、こう述べたのは兵庫県斎藤元彦知事(46)。内部告発されたパワハラ疑惑をめぐって窮地に立たされているが、会見では涙を見せる一幕があり波紋を呼んでいる。

騒動をめぐっては、すでに日本維新の会が9日に辞職と「出直し選挙」を要求。12日には兵庫県議会の最大会派・自民党など、残りの全会派も辞職を求める見通しだ。さらに自民党は斎藤知事が辞職に応じない場合、9月議会の初日にあたる19日に不信任決議案を提出する方向で調整していることも明らかになった。

定例記者会見では記者から、「3年前の知事選では自民党の中から11名が中心として知事を支援した」「明日の(辞職)申入れには知事を擁立するために動いた人もメンバーにいらっしゃる。このことについて、知事の思いや心の声というものは?」と尋ねられた斎藤知事。

すると冒頭のように詫びた上で、こう続けた。

「3年前に(自民党の)会派を割って本当に重い決断で、当時、石川先生、内藤先生ですね。あとは若手も含めて、重い決断を頂いたと思います。今の百条委員長をやられている奥谷先生もそうですけど、その先生方の重い決断の中で私に対して出馬要請をして頂いたと。そこで私も『一緒にやりましょう』ということで、決断しました」

さらに「知事選挙に勝たせて頂いて、知事に就任してこれまで一緒にやってきたというところです」と続けたが、斎藤知事に変化が見られたのはこの直後だった。

「自分がやれる政策とか、先生方のアドバイスとかも、もちろん十分受け止められなかったところもあるかもしれないですけど。当時、兵庫自民という会派におられた中で、一緒にやっていこうと。

議会が終わるたびに会派の控え室にもいましたけど、そこで『頑張れよ』という風に当時も言って頂いていましたので……そこはまぁあの、大変、あの……申し訳ないなと。こういう状況になったってことは申し訳ないという思いで、自分自身に対して悔しい思いではいます」

こう話を続けるうちに瞬きの回数が増え、所々で言葉を詰まらせる。「先生方に心から感謝はしています。本当に申し訳ないという思いで、私自身は今います」とも語り、赤くなった目には涙が浮かんでいたが……。

「感情が出てしまった」とも漏らし、涙を見せたことについて記者から「支援してもらった維新と自民の県議の皆さんの期待に応えられなかったという感情からの悔し涙ですか?」との質問には、こう返答していた。

「申し訳ないという思いですかね。期待に応えられなかったというよりも、結果的にその方々からも、そういった申し出を受けるという状況になってしまったことについて、自分の力不足を強く思ったということです。ただ、県政をしっかりやっていきたいという思いは、私自身も強く持ってはいます」

いっぽう一連の問題をめぐっては公益通報した元・西播磨県民局長だけでなく、阪神・オリックス優勝パレードの資金集めを担っていた担当課長までも亡くなっている。斎藤知事は記者から「心の通った言葉を発信していただけないでしょうか」と求められると、「改めて元県民局長が亡くなられたことは、心からお悔やみを申し上げたいと思います」と述べるにとどまった。

亡くなった職員にではなく自らの力不足に涙を流した斎藤知事に、“自己中”だと感じた人もいたようだ。ネットでは、改めて非難の声が上がっている。

《泣いてんじゃねーよ!っておもう》
《泣きたいのは職員と遺族だよ》
《最後の最後まで自分の為なんですね》
《自分に対して悔しい。結局は自分なんだよこの人は》
《自己愛での涙であって、他の人への気持ちの共感性は皆無なんでしょうね 相手の立場に立って物事を考えられない、自己のことしか考えられない人がリーダーなんておそろしい》