翔猿(左)を攻める琴桜(C)共同通信社

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 勝ったのは「桜」か? それとも「猿」か?

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 大相撲9月場所3日目の昨10日、大関琴桜(26)と翔猿(32)の結びの一番で、「疑惑の判定」が持ち上がった。

 両者は白熱した攻防を繰り広げ、体格で勝る琴桜が翔猿を土俵際に押し込み、突き落とし。しかし、これが空ぶってもろともに体勢を崩すと、琴桜は土俵に落ち、翔猿は土俵外に飛び出てしまった。

 琴桜が落ちるのが一瞬早かったように見えたものの、立行司の木村庄之助の軍配は琴桜。どっちに転んでもおかしくない取組だったにも関わらず、勝負審判たちも手を挙げない。普段、微妙な判定には物言いをつける彼らにしては、不可解とも言える“だんまり”である。

 勝ち名乗りを受けた琴桜はキョトンとし、花道を下がった翔猿は映像を確認して叫び声。本当は誰が勝ったのか、彼らにはわかっていたのだろう。

 角界OBは「行事軍配を擁護するなら」と、こう続ける。

「翔猿の体が完全に土俵外に飛び出ていた、翔猿の足が返っていたなど、理由はつけられるが、それを言うなら琴桜だって前に倒れ込んでいますからね。いずれにせよ、物言いすらつかないのは疑問です。勝負審判は『おそらく軍配通りだろうけど、どちらの足が先に出ていたか、念のために確認しておこう』という理由で物言いをつけることもあるのに……」

 これにはネット中継で解説を務めていた元小結・舞の海氏も「物言いはつけるべきでしょう」と苦言。X(旧ツイッター)でも「翔猿が勝ってただろ」「翔猿がかわいそう」などの声で溢れた。

 前出のOBが言う。

「あくまで推測だが、今場所限りで定年になる木村庄之助に花を持たせるためではないか。元々、今代の庄之助は2019年から昨年まで務めた式守伊之助時代、立行司でありながら差し違えは11回。伊之助を襲名する時ですら、協会内では『任せて大丈夫か?』と懸念もあったほどです。そもそも、木村庄之助を襲名したのも今年から。9年ぶりに復活した『木村庄之助』を、定年まで1年未満の行司に襲名させること自体、温情と言われても仕方ない」

 仮にそうした事情があるにせよ、翔猿には一切無関係。この日から休場した貴景勝は空手に邁進していた少年時代、不可解な判定負けを喫し、「判定がない競技をしたい」と相撲の道に飛び込んだが、どうやら相撲にもいろいろある。

  ◇  ◇  ◇

 そのほか今場所で注目を集めているのが貴景勝だ。3日目から休場が決まったことで大関最短復帰が叶わず、「このまま引退」と見る関係者も少なくない。貴景勝の「決断」を後押しする要素とは何か。「万全な引退後の準備」とは。

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