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映画のラストでは、ディズニーも一度差し戻しを行ったというグロテスクなシーンが登場した。観客に衝撃を与えたこの最終幕だが、実は制作初期にはもっと別のおぞましい存在として描かれる案があったという。その非常に気持ち悪いコンセプトアートがこっそりと公開されているのだが……。

この記事には、『エイリアン:ロムルス』のネタバレが含まれています。

この記事には、『エイリアン:ロムルス』のネタバレが含まれています。

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『エイリアン:ロムルス』のクライマックスでレインとアンディはゼノモーフとの死闘を生き延びるが、ケイには最悪の悲劇が待っていた。妊娠していながらゼノモーフに捕獲されてしまったケイはレインとアンディによって救出されるとバイオポッドの上で産気付く。彼女の産道を通って出てきたのは、グロテスクなエイリアンの卵だ。そこから誕生したのは、エイリアンと人間のハイブリッドである“オフスプリング(The Offspring)”である。

『プロメテウス』に登場したエンジニアとも似たこの個体、母親であるケイを襲って血液を吸い付くし、レインも捕食しようとする恐ろしい存在だ。見上げなくてはならないほどの巨体にまであっという間に成長したオフスプリングは、人間ともエイリアンともつかない、生理的嫌悪感を覚えさせる不気味な見た目をしていたが、制作初期のコンセプトアートはさらに悍ましかった。本作でストーリーボードを手がけたサンティアゴ・ヴェチノが掲載したイラストがこちらだ。

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全体的なフォルムは完成版と似ているが、最大の違いは長い髪が落武者のように伸びていること。「当時、フェデ・アルバレスは長い髪を提案していた」とヴェチノは添えている。

髪の毛といえばホラー映画ではトラウマ要素として用いられることも多い。Jホラーの代表作『リング』(1998)貞子も長い髪をぶら下げていたし、『仄暗い水の底から』(2002)では蛇口をひねると髪の毛が出てくる演出で観客を凍り付かせた。

このコンセプトアート通りになっていれば、オフスプリングは不気味な長い髪を揺らしながら、ケイやレインに襲いかかったことだろう。中途半端に人間らしさを残したこの落武者風オフスプリングはホラーとして非常に恐ろしい存在となったはずだが、 実現していないということは、『エイリアン』のクリーチャーとしてはどうか?という検討がなされたのかもしれない。

ちなみに『エイリアン:ロムルス』では可能な限りCGに頼らない撮影にこだわっており、このオフスプリングも特撮が基本。身長2メートル31センチあるバスケットボール選手のロバート・ボブロクスキが演じている。フェデ・アルバレス監督は、ボブロクスキが扮したオフスプリングの撮影風景を公開している。