「怖すぎて小さい頃トラウマになった」クレヨンしんちゃん待望の“ホラー回”に人気作家が登場! ファンから“ガチ”と話題の「子ども向けを超えた怖さ」、過去の神回紹介も
8月31日放送のアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)は、【夏の終わりはホラー見れば~?SP】と題して、「オラは見た!カスカベ都市伝説ガチャガチャ人間だゾ」と「変な家族だゾ」の2本連続でホラー回が放送される。アニメファンの間では、“クレヨンしんちゃんのホラーはガチ”と評判だけに、今回も大きな期待が持てそうだ。
【画像】大人でも耐えられない? クレヨンしんちゃんの怖すぎるホラー回
人気ホラー作家が「クレヨンしんちゃん」の世界へ
「変な家族だゾ」の脚本を担当するのは、ホラー作家兼YouTuberの雨穴さん。今回のエピソードではなんと、本人がアニメの世界に登場して声優にも挑戦する。
雨穴さんは出演・執筆にあたって、〈このたび、恐れ多くも『クレヨンしんちゃん』の世界にお邪魔させていただきました。お子様にも、コアなしんちゃんファンにも、大人になってだんだんアニメを見なくなった方にも…そしてもちろん「雨穴…誰それ…?」という方にも楽しんでもらえるようなおはなしを目指して作りました。少し怖いおはなしなので、小さなお子様はちょっとだけ気をつけてご覧ください!!〉とコメントを発表。
ホラー作家の雨穴さんの書き下ろしとなれば、確かに小さな子どもたちにはトラウマ級の恐怖を与えてしまうかもしれないが、クレヨンしんちゃんのホラー回は今までも視聴者に強烈な恐怖を与え、大人からも恐れられている。
その中でも特に有名なエピソードが、「知らない誰かがいるゾ」。簡単に概要を説明すると、いつものように幼稚園で遊んでいるしんのすけ、風間くん、マサオくん、ネネちゃん、ボーちゃんの5人の中に、知らない誰かが紛れ込んでいるというストーリー。
かくれんぼをしても、リアルおままごとをしても、なぜか一人余ってしまう。しかし5人はその原因がわからず、知らない少年が紛れ込んでいることに誰も気づかないのだ。
そんな中、組長……もとい、園長先生がカキ氷を振舞ってくれるとのことで、“5人”は園長先生の家へ。しかしここでも、人数分出したはずのカキ氷が一つ足りない。園長先生はここで、座敷わらしの言い伝えを話す。だが一方で、しんのすけたちが通うふたば幼稚園は、座敷わらしが出るほど古い建物でもないとも指摘した。
こうして、座敷わらし説が覆されたのも束の間、園長先生はしんのすけたちが走り去っていく中に、知らない少年の影を目撃する……。
「小さい頃トラウマなった」クレしんのガチホラー回
この回は現在、公式YouTubeにて期間限定で配信されており、コメント欄には〈これマジで怖すぎて小さい頃トラウマになった〉〈しんちゃん屈指の名作回。ホラー回となると何故か普段のBGMやベタなボケが不気味に感じる〉〈人数多いことに疑問を抱くのにその理由に気づかないシーンマジで怖い〉〈不気味さだったらこの回がダントツ〉といった声が寄せられている。
さらに映画レビュアーのタクマ大佐さん(@taisadon)に話を聞くと、「普段は全力で子どもたちを笑わせようとする作り手の大人たちが、逆に子どもをビビらせようとしています。本気になった大人たちが子どもにトラウマを植えつけようとして作っているのが見ててわかるところ」が、クレヨンしんちゃんホラー回の魅力だと指摘する。
また、座敷わらしの回ではしんのすけらに直接的な被害はなかったようだが、何かあったのかも……と感じさせるホラー回も。それは「呪いのフランス人形だゾ」。
ある日、ひろしが会社で年代物のフランス人形をもらってくる。そのフランス人形をみさえは気味悪がるが、ひまわりはすっかり気に入ってしまう。
後日、ひろしは人形をくれた同僚から、実は人形はゴミ捨て場から拾ったもので、拾ってから妙なことが立て続けに起こったことを打ち明けられる。嫌な予感がしてひろしは急いで家に帰ろうとするが、家では人形が動きだしていた。
そして、みさえとしんのすけに語り掛ける。“人間は自分たちを最初は大事にしてくれるけど、すぐに飽きてゴミのように捨ててしまう”と……。フランス人形の怒りの念を受けて、ほかのおもちゃたちも動き出し、みさえとしんのすけに襲い掛かっていく。
と、ここでみさえの目が覚める。部屋にはおもちゃが何事もなかったかのように散らかっている。さきほどの恐怖体験は夢だったのか……と思ったら、隣の部屋のしんのすけを呼んでも返事がない。一方、フランス人形はゴミ捨て場で、フフフと一人で笑っているのだった。
ちなみに、ホラー回の名作の一つ、「殴られウサギの逆襲だゾ」も、普段はストレス発散でネネちゃんやネネちゃんのママから殴られまくっているウサギが動き出し、「お人形をいじめたらバチが当たるよ」と、持ち主に復讐をする話だ。
「呪いのフランス人形だゾ」との共通点は、どちらもホラーであるもの、子どもたちに“おもちゃを大切に扱おう!”というメッセージが込められており、ただ怖がらせるだけの内容ではないではないところだ。
クレヨンしんちゃんホラーの歴史
それにしても、いつからクレヨンしんちゃんのホラー回がここまでのキラーコンテンツになったのか。“クレヨンフルエンサー”を目指しているかずみんさん(@crayonkazumin)に話を聞いた。
「手軽に一生忘れないほどの恐怖やトラウマ、加えて笑いまでも味わいたいならクレしんホラーだ……との呼び声高いクレヨンしんちゃんにおけるホラー回。
1997年夏に全パートをホラー回で構成した『クレヨンホラー劇場』が好評を博して以後、不定期でホラー要素のある話が放送されるようになりました。初期はギャグ調のコミカルなものも多かったのですが、徐々に笑い一切なしの作品が次々と生み出されていき、特に”なぐられウサギ”シリーズ、劇場版の『伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』は多くの子どもたちにトラウマを与え、“クレしんのホラーはヤバすぎる”ということがファンのみならず世間にも認知されはじめました。
私が、クレヨンしんちゃんというメディアとホラーの相性が抜群にいいと思う理由は、普段は実在する地名や時事ネタも取り込むような日常モノで、我々の過ごす現実世界のようなリアリティがあることに加え、ホラー回では子どもならではの視点で恐怖を追体験できるところにあると思っています。
小さい頃に感じた、いわゆるお化けのような”異質”への恐怖をしんちゃんはじめ、妹のひまわりや幼稚園のお友だちという子どもの目線で感じることができるので、より詳細に”異質”と対峙したときの無力さ、絶望、諦めを体感することができる珠玉のホラーが完成するのです。ファンとしては、“しょせんクレヨンしんちゃん”と油断している幅広い年齢層にご覧いただき、ぜひともトラウマを植え付けてほしいものですね」
31日の放送では、どんな手法で視聴者を震撼させてくれるのだろうか。クレヨンしんちゃんホラー回の新たな伝説が生まれることを期待したい。
取材・文/集英社オンライン編集部