中国のSNSで宣伝されている、中央区のタワマン民泊

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 晴海フラッグ周辺で発見された、怪しいキーボックスが示すものとは?実はコロナ禍以降、中国人が運営する闇民泊と、中国人だけで完結する“閉じた経済圏”が急速に拡大中なのだという。関係者らを直撃した。
◆ホテルに代わる民泊需要に便乗し違法営業で荒稼ぎ!

 東京五輪で選手村として使われた後、巨大マンション群として民間活用が始まった晴海フラッグ。その周辺で今、謎の“キーボックス”が多数見つかり話題になっている。地元の不動産業者A氏は言う。

「報道にもあったように晴海フラッグを含むあのエリアのタワマンを購入、あるいは借りた中国人業者が、民泊として部屋を貸し出している。その鍵の受け渡しのため、暗証番号で開けるタイプのボックスを勝手に周辺の電柱などに設置している。しかし晴海周辺で民泊としての届け出をしている業者はほぼなく、いわゆる“闇民泊”と思われます」

 晴海のある中央区は民泊制限エリアとして知られ、基本的に稼働できるのは土日のみ。しかし銀座、築地などの人気観光エリアに近く、近隣のホテルよりも割安なため需要が多い。

◆中国人観光客も多くは“コスパ”を重視

 在日中国系不動産業者の陳美麗氏(仮名)は言う。

「今や銀座周辺のホテルは一泊一人5万〜10万円は当たり前。しかし民泊の多くは泊まる人数に関係なく、1万〜4万円といったところ。中国人は金持ちというイメージがあると思いますが、富裕層以外の一般観光客はコスパ、お得感を最重視しているのです」

 集客さえできれば儲かるのが民泊事業だ。たとえば家賃20万円の部屋を一泊2万円で貸し出せば毎月最大60万円の売り上げとなる。

「一室で毎日1万〜4万円の利益が上がる。ただ民泊は特区以外は年間180日間までの稼働しか認められておらず、違反した場合、最大100万円の罰金が科されるため、まともにやっていてもうまみは少ない。だから違法業者も多い。

 特に在日中国人業者は、中国のSNSを使いながらうまく集客し利益を上げている。違法行為がバレた場合は、同じ中国系の“白タク”と同じで、『友達を泊めてるだけ』の逃げ口上で乗り切るんですよ」

 Airbnbなどの大手仲介サイトは行政へ登録番号などの提出が義務づけられているため、闇民泊業者は主に中国のSNSや微信(Wechat)で集客しているという。

「支払いもWechat Payで事前に完了。日本の金融機関を通す必要すらないので、日本の当局から詰められても逃げるのは難しくない」

 こうした闇民泊は、大阪、京都、福岡などの大都市でも急増中だ。

◆日本人には一切カネが落ちない仕組みが確立

 さらにインバウンドが復活した現在、闇民泊業者の間では仁義なき客引き合戦が繰り広げられているという。

 東京と大阪のタワマンを中心に、闇民泊を15室運営する在日中国人系不動産会社の社長、李強氏(仮名)は言う。

「ここ10年ほど、富裕層の中国人や台湾人を相手に投資用マンションと別荘を販売してきました。購入者はその後、基本的に賃貸に出すのですが、今は闇民泊にしたほうが儲かる。日々、ホテル並みの料金が取れて、売り上げはオーナーと折半。支払いはWeChat Payなので、日本の税務署に睨まれるリスクもない」

 だが、“おいしい話”だけに敵も多いという。

◆日本行政ではなく“同業者”間で潰し合い

「この2年ほど、闇業者がどっと増えた感じがありますね。中国のSNSでライバル業者の告知を見つけると、日本の行政に『違法業者なので営業停止にしてください』などと通報するわけです。自治体も人員が限られているので調査などないに等しいが、そのような同業者の潰し合いは日常的に行われています」

 このように、中国人同士が中国人の顧客を奪い合っているのが現状だ。