Image: W.M. Keck Observatory/Adam Makarenko

天文学的大発見は、インターネットと膨大な時間さえあれば誰でもできる。

Tom Bickle氏、Martin Kabatnik氏、 Austin Rothermich氏の3人がその膨大な時間を費やした結果、時速約100万マイル(約160万キロメートル)で、天の川を突き進む天体を大発見しました。この3人は、NASAの引退した広視野赤外線探査衛星(WISE)によって撮影された画像を、オンラインで解析する一般参加型プロジェクト「Backyard Worlds: Planet 9」の参加者でした。

一般市民参加型の天体プロジェクト「Backyard Worlds: Planet 9」

このプロジェクトは、太陽系の第9惑星と褐色矮星(星と惑星の中間のようなもので、惑星としては大きいけど星としては小さすぎるガスの塊)や、低質量の星、そして太陽を周回する仮説上の第9惑星など、太陽系の端にある天体を探すことを目的としています。

このプロジェクトのウェブサイト上で公開されている写真データは世界中の誰でもアクセス可能。実際の写真データは、WISEの赤外線カメラで撮影された画像を処理したもので、人間の目には見えない波長の光をスキャンしたものです。3人は、研究対象外となるほど遠くにある星や、WISEででた誤差かもしれないものは除外しながら、約5年の間隔をおいて撮影された同じ天体の一連の写真を分析。その過程で、画像の中で動いている天体を発見したのでした。

彼らはこのプロジェクトサイト上からその発見を報告したところ、専門の科学者によって、その天体が調査され、めでたく「CWISE J1249」という名前を与えました。

一般人による発見を通じて、研究者達が詳しく調査

NASA、UCサンディエゴ、その他の大学からなる研究チームは、さらにそのデータを詳しく調査しました。

Astrophysical Journal Lettersでプレプリント論文として掲載された論文では、CWISE J1249が何なのかはまだ明確ではないものの、その特徴から、これは小さな星か褐色矮星のいずれかである可能性が高いと記されています。その天体は非常に速く移動していて「独特の軌道と速度」だそうで、最終的には天の川の重力から脱出し、銀河の空間へ飛び出していくと見られています。

異常なのはその速度だけではなく、CWISE J1249は、他の観測された星や褐色矮星に比べ、鉄等の金属が少ないことから、この天体が非常に古くて、天の川の初期の時代にまで遡る可能性があるかもしれません。

発見者の1人である、ドイツのニュルンベルク在住のKabatnik氏は「どれだけ興奮したか言い表せません。初めてその速度を見たとき、完全にすでに報告済のものだと思っていました」と述べています。

学研ステイフル(Gakken Sta:Ful) 学研_天体望遠鏡ウルトラムーン(対象年齢:6歳以上)Q750726
2,209円
Amazonで見る
PR