(※写真はイメージです/PIXTA)

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うまく雑談できるようになりたいですよね。一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀氏は、著書『うまく「雑談できる人」と「できない人」の習慣』の中で雑談できる人とできない人の違いを取り上げています。それは一体どんなものでしょうか?本書から詳しく紹介します。

うまく雑談できる人は 「どんな○ ○ ?」と質問をし、できない人は 「○ ○ ですか?」と質問をする。

雑談を盛り上げられない原因は、質問にあります。次の2種類の質問を比べてみてください。


(1)下手な人の質問
「会社員をされている方ですか?」


「職種は事務職ですか?」


「趣味はありますか?」


「スポーツはやりますか?」


「その映画、おもしろかった?」


(2)雑談が上手い人の質問
「仕事はどんな関係をされていますか?」


「職種はどんなことをされていますか?」


「どんな趣味をお持ちですか?」


「スポーツはどんなことをされていますか?」


「その映画、どんなところがおもしろかった?」


いかがでしょうか? 違いが明白ですね。話が盛り上がらない人は、(1)のクローズドクエスチョンを多用しています。クローズドクエスチョンとは、答えが限定される質問です。「ありますか?」「はい、あります」「○○ですか?」「はい、そうです」このようにクローズドクエスチョンは、相手が瞬時に答えやすいのがメリットです。


相手にしてみたら、考えなくていいし、「はい」「いいえ」「あります」「ないです」と答えるだけで、たいして口を開かないままで済ませることができます。数年間、営業トレーナーをしていたときに、延べ200人の営業に同行しました。さまざまなタイプの営業スタイルを研究できて、それが私の大きな財産です。その200人の中でも、最も印象に残っている新人がいました。


転職してきたばかりの40代男性です。車に同乗してお客様宅へ行くまでの雑談は楽しいものでした。「お、売れる大型新人かも」と感じたのも束の間。お客様宅では、お客様にしゃべらせたくないのかと思うくらい、延々とクローズドクエスチョンばかり。ですから、お客様が口にする言葉は「はい」、「そうです」くらいでした。そうしてほとんど話す機会を与えないまま、金額を提示します。


もちろんあっけなく断られました。そして車に戻り、車を走らせた瞬間、彼は言いました。「今のお客さんは、ガードが固かったですね! あれじゃ誰が言っても売れないですよ」その言葉に腰が抜けるほど驚きました!「ガードを固くしていたのはあなたですよー!」と心の中で叫んだことを覚えています。


一方、(2)は答えを限定しないで引き出していく質問です。これをオープンクエスチョンといいます。オープンクエスチョンのメリットは、相手が自由に答えられるため、会話が広がりやすいことです。また、相手の話に興味を持っていることを示すことができるので、信頼関係を築きやすいです。例えば『どんなお仕事をされていますか?』とその新人が聞くことからはじめていたら結果はちがっていたかもしれません。オープンクエスチョンの質問だと、自由に答えられるため、会話が広がります。


【ポイント】


オープンクエスチョンを使いこなせば、会話を無限に広げられます!

うまく雑談できる人は 質問ボメを使いできない人は 「すごいですね!」とほめる。

「松橋さんって、文章がうまいですよね」「いえいえ、そんなことはないですよ。村上春樹とかに比べたら私なんてぜんぜんです」失礼しました。実際には村上春樹と比べたことなんて一度もありません。ですが、こんなふうにほめられたら、ついつい自分を落としてしまうというのが日本人の性かもしれません。


ほめる側としては、「松橋さんに喜んでほしい!」と思ってほめてくれています。でもこのほめ方だと、謙虚さを見せたくなり、否定してしまいやすいのです。そこで、もっといいほめ方をご紹介します。それが質問ボメです。これは潜在意識の活用方法スキルの中の、前提を埋め込むスキルを応用しています。


「前提を埋め込む」とは、それがすでに当然であるかのような文脈にするということです。営業の場合なら、「それではこの商品を申し込みされますか」とストレートに迫ると、「いえ、よく考えてから返事します」と断られやすくなります。


そこで「それでは商品を使うとしたら、松と梅のどれがいいなと思いましたか?」「そうですね、どうせなら松ですね」「でしたら金額は○○円です。一括払いと分割払いでしたらどちらがよろしいですか?」「じゃあ、一括払いで」「承知しました。ではこちらの申し込み用紙のご記入ですが……」


このように「すでに申し込みを決めているでしょ」という前提を埋め込んで話を進めていく話法は、決断のストレスを感じさせません。訓練を積んだ営業ならみんながやっている話法ですので、普段から使いこなせると、コミュニケーションがスムーズになります。


「松橋さんって、文章がうまいですよね」これを次の様に変えてみましょう。「松橋さんって、どうしてそんなに文章がうまいんですか?」この言い回しは、「すでに文章がうまいのは当然のこと」を埋め込んでいます。そして言われた方の意識が向くのは、「どうしてうまいのか?」という質問の方です。


この質問をされると自動的に「うまい理由はなんだろう?」と検索を始めてしまい、謙遜へ意識が向かうことがなくなります。「そうですねえ。山口拓朗さんの本で勉強したのが大きいですね。あとは本を何万冊も読んできたからですかね」ついついこのように、謙遜をする余裕もなく、「文章がうまい」というほめ言葉は素直に受け取ってしってしまうのです。


「どうしてそんなに○○なんですか?」ほめる際には、この基本形を駆使しましょう。ほめることは、相手とのコミュニケーションを活性化し、より良い関係性を築くための有効な手段です。このテンプレートを使って相手をほめつつ、さまざまなノウハウを教えてもらってください。お互いに、とてもいい関係が築けるでしょう。


【ポイント】


「どうしてそんなに○ ○ なんですか? 」を口ぐせにしちゃいましょう!
 

一般社団法人日本聴き方協会代表理事
松橋良紀