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8月15日、栃木県の東北自動車道下りを逆走してきた軽ワゴン車と乗用車が衝突し、2人が死亡、子ども2人が重傷を負いました。
お盆のUターンや夏休みの旅行など高速道路を使う機会が増えるいま、もし「逆走車」に遭遇したら?そして、万が一逆走してしまったらどう行動すべきなのでしょうか?

【写真を見る】逆走車が迫る様子・逆走した場合の視界(JAFによる再現)

命を守るために知っておきたい行動を、車のプロに尋ねました。

「逆走」は頻繁に起きている

そもそも、逆走は全国でどれくらい発生しているのでしょうか?

国土交通省によりますと、高速道路での逆走は1年間で平均約200件発生しています。つまり逆走は「2日に1回」は起きているということです。逆走が死亡事故につながった割合は、高速道路での事故全体と比較すると約38倍。逆走は、重大な結果につながる場合が多いことが分かります。

※2011年~2023年までの統計

(出典:警察の協力を得て国土交通省・高速道路会社が作成)

では、高速道路を走行中に逆走車に遭遇したら、どのように行動すればよいのでしょうか?

「車間を広げる・速度を落とす・左側に移動する」

日本自動車連盟(JAF)認定セーフティーアドバイザーの緒方将(おがた まさる)さんは、「基本的には近寄らないのが大前提」として、逆走車に遭遇した場合「車間を広げる・速度を落とす・左側に移動する」ことが大切だと話します。

JAF認定セーフティーアドバイザー 緒方将さん「逆走車は左側通行の感覚で追い越し車線を走ってくることが多いので、まず自分が車線を変更する」

――逆走車が走行車線を走ってきた場合は?

緒方さん「ケースバイケースですが、状況によっては後続車の状況を確認したうえで、路肩にとめることも必要かもしれません」

逆走車との遭遇を防ぐために

緒方さん「逆走の危険性は、お互いにスピードがのっている状況なので認識が遅くなること。お互いに時速80キロで走行していたら、160キロで近づきますよね。反応が遅れると回避が難しくなるので、自分から速度を落とすことが重要です。そもそも基本的に追い越し車線を走り続けることは違反なので、日頃から走行車線を走る意識が大切です」

安全を確保したら、同乗者の110番通報や最寄りの非常電話などで報告を。高速道路上の情報板で逆走車の存在が周知されます。

掲示板で逆走車の存在を確認した場合、サービスエリアが近ければ一度入って避難することも一つの手になります。

高齢者だけじゃない「逆走事故」の危険性

2023年に起きた逆走事故のうち、約6割が65歳以上によるものでした。逆に言えば、65歳以下でも逆走し、事故を起こしてしまう可能性はあるということです。

2023年発生の逆走事故(39件):65歳以上(24件)65歳未満(15件)

・標識が逆を向いている
・中央分離帯が左にある

このような状態に気づいたら、すでに逆走している可能性があります。

速やかな対処を

緒方さん「逆走してしまったら『衝突事故をいかに防ぐか』行動するしかない。対向車(本来の進行方向に向かう車)の妨げにならないように路肩に速やかに移動し、ハザードランプをつけて三角板、発煙筒で周囲に知らせる」

その後は、

・車内にとどまらず、ガードレールの外に避難する
・携帯電話や非常電話で警察などに連絡する

ことが必要です。

また、道を間違えたからといって、本来の車線に戻ろうとする行為は危険です。

緒方さん「周りを巻き込まない。高速道路でのUターンや後退は一切禁止です。すべて一方通行と思ってもらって構いません」

夏の長距離運転 こまめな休憩を

高速道路を走行するような長距離運転は疲れがたまりやすく、夏の暑さも相まって注意力が散漫になりがちです。

緒方さん「こまめに休憩をとってもらい、同乗者がいればみんなでしっかり安全確認をする。進行方向を確認して発進する。そういう所を心がけていただきたい」

エアコンは外気を取り込もう

車内の空調には「外気導入」と「内気循環」の2種類がありますが、長時間「内気循環」を続けると二酸化炭素濃度が上がり、集中力に影響する可能性があると言います。

緒方さん「空気の入れ替えや『外気導入』にしていただくといいかもしれませんね」

夏の長距離運転では、運転手の不調だけでなく、道路の温度上昇とタイヤの空気圧減少によってタイヤが破裂する「バースト」など、車そのものにも事故につながる危険が伴います。

「自分だけは大丈夫」と思わずに、車や体調のメンテナンスを万全にしたうえで、快適なドライブを楽しんでください。