テキサス州エルパソにあるチャールズ中学校が2024年8月5日に、生徒らに上下黒の服装を禁止することを通達したと報じられました。学校側は、黒一色の服装が「精神衛生上の問題や犯罪を連想させるから」と説明していますが、保護者や地域住民からは「着ている服の色で精神状態が変わるわけがない」と反発を受けています。

Middle school bans all-black clothing, citing mental health concerns

https://www.kkco11news.com/2024/08/06/middle-school-bans-all-black-clothing-citing-mental-health-concerns/

EPISD admits poor communication in black clothing ban, seeks input for future decisions

https://www.kfoxtv.com/news/local/episd-admits-poor-communication-in-black-clothing-ban-seeks-input-for-future-decisions

An El Paso middle school bans all-black clothing, citing mental health concerns

https://www.kfoxtv.com/news/local/an-el-paso-middle-school-bans-all-black-clothing-citing-mental-health-concerns-texas-tx-ms-charles-nick-desantis-pe-teachers-association-pe-depression

テキサス州最西端に位置する都市・エルパソのチャールズ中学校は、2024年8月5日に新学期を迎えました。そして、夏休み明けの開校初日に生徒らに送られた通知の中で、黒一色の服装を禁止することを発表しました。

ニック・デサンティス校長はまず、生徒に宛てた手紙の中で、今後はフードとポケットがついたスウェットシャツが禁止されると通告しました。これは、生徒が学校に持ち込んではいけない物品を隠し持ったり使ったりするのを防ぐためです。

デザンティス校長はさらに、「黒いトップスに黒いボトムスという、学内で流行しているスタイルも禁止とします。これは、幸せで健康的な子供たちが学ぶ格好というよりも、うつ病や精神衛生上の問題、犯罪を連想させるものです」と述べて、上下黒の服装を禁止することを知らせました。



エルパソ教師協会のノーマ・デ・ラ・ロサ会長によると、この服装規定が採用されたのは、生徒が落ち込んだりストレスを抱えたりすると、派手な服装から真っ黒な服装に変わるのを教師らが目撃したのがきっかけとのこと。

デ・ラ・ロサ氏は「生徒たちに許可されていないのは、上から下まで黒い服を着ることです。体育の時に黒い短パンをはいたり、服装自由の日に部分的に黒い服を着たりすることはできますが、上下ともに黒の服を着ることはできません」と話しました。

また、チャールズ中学校を管轄するエルパソ独立学区(EPISD)は、メディアの問い合わせに「チャールズ中学校は、生徒の幸福と誇りを高めるために服装規定を更新しました。この決定は保護者、教職員、コミュニティの利害関係者で構成されるキャンパス改善チームによって慎重に検討され、承認されました。その目的は、生徒の肯定的な自己イメージを育み、学校のカラーと誇りをより効果的に表現することであり、この変更はチャールズ中学校の利害関係者から寄せられた懸念と提案に応えたものです」と述べて、中学校の決定を擁護しました。



これに対し、一部の保護者や地域住民からは批判の声が上がっています。例えば、チャールズ中学校に通う生徒の保護者であるファビオラ・フローレスさんは、子どもの服を買い直すために経済的損失が発生したため、学校側は前もって保護者の意見を聞くべきだったと話しています。

フローレスさんは地元のテレビ局の取材に、「もう黒のズボンを買ってしまったので、またズボンを買い直さなきゃいけません。彼らは『こんなことを考えてるんですけど、どう思いますか?』という具合に聞くべきだったんです」と話しました。

ほかにも、「服の色は、何かをする能力や感情を得る能力とは何の関係もありません」「生徒に違う色の服を着せても、魔法のように違う人間になるわけではないでしょう」といった声が寄せられているとのこと。



専門家からも不評で、地元の医療機関・Emergence Health Networkで児童・青少年サービス責任者を務めるクリスタ・ウィンゲート氏は「精神疾患やうつ病には色はついていませんし、服装も関係ありません。他の兆候に注意することの方が非常に重要です」とコメントしました。

こうした反対意見を受けて、EPISDのサラ・ベネガス教育長は「この決定は明らかに行き過ぎでした」と述べて、服装規定の見直しを検討することを明かしました。ベネガス教育長はまた、地元テレビ局に「特に学生のメンタルヘルスに関することを検討する際には、メンタルヘルスの専門家に委員会に参加してもらいたいと思っています」と述べて、キャンパス改善チームの再編を行う考えを示しました。