車で川に転落!骨折!脱出!空き家に一泊!? そして帰宅? まさかの「スマホ落として連絡できなかった…」 69歳会社役員を書類送検、何が問題?

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軽微な事故であっても警察へ通報する義務あり!

 長野県警は2024年8月2日、クルマを運転中に川に転落し、その後事故を警察に報告しなかったとして長野県飯田市に住む69歳の男性を道路交通法違反の疑いで書類送検しました。

 では、交通事故を起こした際にはどのような対応をすべきなのでしょうか。

今回の事件は水没したクルマを放置して、20キロ離れた自宅に帰宅したという(画像はイメージ)

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 事故は6月25日の午後8時頃、男性が長野県天龍村を走行中にハンドル操作を誤って天竜川に転落したものです。

 男性はこの事故で胸の骨を折るなどの重傷を負いましたが、クルマから脱出して川の斜面をよじ登り、空き家となっていた村内の実家に一泊、そして翌日電車で約40km離れた飯田市の自宅に戻ったとみられています。

 事故については6月26日の午前8時前、川の近くを通りかかった人から「クルマが落ちている」と警察に通報があったことで発覚しました。

 クルマが発見された当時は車内に人がいなかったため、付近の捜索がおこなわれています。

 このようにクルマを放置して帰宅し、事故を報告しなかったことで道路交通法違反の疑いがもたれており、男性は警察の調べに対し「スマホが水没して連絡できなかった」と話しています。

 この事故に対してはインターネット上で「携帯が使えなかったら通報が遅くなっても仕方ないのでは?」「怪我や疲労で通報できなかったのかも」「1週間くらい大目にみてあげて欲しい」といった意見が聞かれました。

 その一方、「電車に乗って帰ることができたなら、どこかに公衆電話や民家、コンビニなどあっただろうし警察へ連絡できそう」、「消防が川の中を捜索するなど大がかりな運転手探しがおこなわれていた。連絡せず放置するのは良くない」、「ガソリンやオイル漏れなどで河川の汚染につながる可能性がある」といった声も寄せられています。

 ちなみに交通事故が発生したときの報告に関しては、道路交通法第72条第1項に規定されており、事故の際はただちに車両の運転を停止して負傷者を救護すること、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じることが定められています。

 つまり事故の際に怪我人がいれば救急車を呼ぶ・応急救護措置などの対応をとるほか、事故の破片を片付けたり他の通行車両へ事故を知らせたりする必要があります。

 さらにドライバーには、警察官に事故の発生日時や場所、死傷者・負傷者の数、損壊した物など事故の状況を報告することが義務付けられています。

 加えて運転者が死亡または負傷したためやむを得ない場合は、同乗者が事故報告をしなければいけません。

 この報告を怠ると、罰則として3か月以下の懲役または5万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

 今回の事例ではドライバー自身が怪我をしていた上、同乗者もいなかったことから事故発生直後の通報は困難だったと考えられますが、警察ではさまざまな状況を考慮して最終的に「通報ができる状態だった」と判断したものとみられます。

 また一部ドライバーの中には「怪我のない物損事故であれば報告しなくても良い」と考える人もいますが、たとえ軽微な物損事故であってもドライバーには事故を報告する義務があります。

 そして事故を警察に報告していないと、自動車安全運転センターによる「交通事故証明書」が発行されず、自動車保険の保険金が支払われない可能性もあります。

 クルマの修理代や相手が怪我をした場合の治療費など多額の損害を被るおそれもあるため、事故発生時はすみやかに報告するようにしましょう。

※ ※ ※

 交通事故を起こしてしまった場合はまず怪我人の有無を確認し、怪我人がいれば必要に応じて救急車の要請や救護措置をとりましょう。

 また物損事故であっても当事者同士で解決しようとせず、必ず110番などで警察官を呼ぶことが重要です。