毎年20人近くが東京大学に合格!東京学芸大学附属高等学校 知的好奇心を育む「本物教育」

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名門校の知られざる姿を、生徒や親、教師など、さまざまな視点を通して紐解く情報ドキュメンタリー「THE 名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週土曜午前10時30分)。「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。

【動画】受験の参考にも!校風が分かる「名門校」密着映像

今回紹介する名門校は、東京・世田谷区にある国立「東京学芸大学附属高等学校(通称、附高)」。都内有数の進学校として知られ、毎年20人近くが東京大学に合格。難関大学合格の秘密は「本物教育」にあるという。
さらに番組は、驚きの研究に情熱を燃やす高校2年生に密着。2週間後に開かれる「JAXA」の成果報告会で研究結果を発表することになるが……生徒たちの熱い青春に密着した。


東急東横線・学芸大学駅から徒歩15分。商店街を抜けた閑静な住宅街に、国立「東京学芸大学附属高等学校」はある。
全校生徒数は963人で、男女比はほぼ半々。2024年春の大学合格者数は、東京大学21人を含め、国公立大学に133人、早慶上理に293人、GMARCHに485人で、都内屈指の進学校として知られている。
難関大学に強い秘密はどこにあるのか…早速、校内を見ていこう!

生徒たちは、正門から続くイチョウの並木道「ロマンス街道」を通り、校舎へ。秋のロマンス街道は、黄色い絨毯が迎えてくれる。
1954年、東京学芸大学の附属高等学校として開校した附高は、1960年、小金井キャンパスに移転した東京学芸大学の校舎を引き継いだ。元国立大学だけあり、広大な敷地!


2面あるグラウンドでは、生徒たちが伸び伸びとスポーツを楽しむことができる。


「スーパーグローバルハイスクールネットワーク」に参加している附高は帰国生も多く、ある生徒は英語で、「この学校にいるだけで世界を体感することができる」と教えてくれた。附高には、海外生活の経験を活かし、切磋琢磨できる環境がある。


図書館の蔵書数は約3万4000冊で、金融に関するコーナーも。2022年度より高校の家庭科で金融教育が始まり、これに伴い設置された。


こちらは、昼休みに賑わう購買。附高名物「チーズドック」と「揚げ餅」が大人気! お弁当も550円で買うことができる。


文武両道を掲げる附高は、部活動も盛ん。グラウンドでは、ホッケー部が練習の真っ最中で、「目標は都大会優勝です!」と話す部員も。


体育館では、バレーボール部とバスケットボール部が練習に励んでいる。
水泳部は強豪で、卒業生には「パリオリンピック」競泳代表に内定した松本信歩さんが! そんな先輩に憧れて入部した黒川真那さんは、2年連続でインターハイに出場している。
先輩の頑張りが後輩のモチベーションに…脈々と受け継がれる伝統だ。


難関大学に強い附高。受験に対する生徒のモチベーションは、「本物教育」によって育まれるという。例えば、高校1年生が全員参加する「地理実習」。「地理総合」の一環として、政治経済の中心である旧江戸城の周りを一日かけて散策し、地理的な考え方を養う。附高名物のフィールドワークだ。
丸の内からスタートし、約16キロメートルのコースを歩いて都市景観を観察。土地がどのように使われているのかを調査し、地理や歴史の見方・考え方を身につける。
生徒達が訪れたのは水道橋で、急勾配で知られる男坂の階段を測量。どれくらいの勾配があるのか、自分たちの手で測って理解するのだ。街を肌で感じながらさまざまな発見をしていく。


そして、「本物教育」の軸となるのが「探究学習」だ。文科省から「スーパーサイエンス ハイスクール」の指定を受けている附高。探究にはまとまった時間が必要だと、月に一度の土曜日を丸一日充て、そこかしこで実験が行われている。


ミミズの表面に見られる構造色(光が当たる物体の構造によって生まれる色)を研究する生徒や、薬の崩壊実験を行う生徒も。「未知のものを探究するのはすごく面白い」と話し、思い思いの実験に没頭している。生徒の知的好奇心を育てる土壌があるのだ。
「生徒は元々知的好奇心を持っている。潜在的に持っているものを揺り動かして発現させなければならない。そのきっかけを与えるのが学校」と、大野弘校長は話す。
本物に触れることで知的好奇心が引き出され、学習のモチベーションにつながっている。


そんな附高には、“無重力の研究”に励む有志の生徒たちが集まるグループ「無重力実験講座」がある。テーマは「10年後の宇宙生活を豊かに」。2021年に始まった講座で、約20名が参加している。


メンバーの一人、高校2年生の荒井千代子さんが研究しているテーマは、「微小重力環境の中で毛細管がどのような液面上昇を見せるか」。
毛細管現象とは、液体の中に立てた細い管の中の液面が上昇する現象。植物が水を吸い上げるのもこの現象だ。「無重力環境で毛細管現象はどうなるのか?」それが荒井さんたちの研究テーマになっている。
重力が小さければ、液面が速く高く上昇するかもしれない…荒井さんたちはそんな仮説を立てて、実験と分析を繰り返してきた。そしてその研究は、あの「JAXA」にも評価され、国際宇宙ステーションでの実験を募集したプロジェクト「アジアントライゼロG」に選ばれた。


ところが、その実験結果は荒井さんの予想と大きく異なった。宇宙での実験では、仮説のような速度で液面の上昇が見られなかったのだ。
なぜ、自分たちの仮説と違う結果になったのか? 荒井さんたちはその謎を解き明かすために検証を開始。2週間後に開かれる「JAXA」の成果報告会で、その結果を発表することになった。自分たちで考案した手作りの無重力実験装置で検証する生徒たち…荒井さんの思いは、「JAXA」に届くのか!