酒井宏樹ら4名退団の浦和、堀之内SDが声明を発表「さまざまなご意見もあろうかと思いますが…」

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 浦和レッズは7月1日付で声明を発表。シーズン途中のタイミングで主力4選手が退団したことを受けて、同クラブのスポーツダイレクター(SD)を務める堀之内聖氏が、移籍の経緯やクラブの考え方などを発信した。

 浦和に関しては6月24日、昨季に引き続き今季もキャプテンを務めていたDF酒井宏樹が、海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のため、チームを離脱することが発表された。それだけでなく、同27日にはMF岩尾憲の徳島ヴォルティスへの完全移籍が、翌28日には副キャプテンを務めていたDFアレクサンダー・ショルツの海外移籍を前提とした手続きと準備のためのチーム離脱も発表。加えて、7月1日には、ローマから期限付き移籍加入していたMFオラ・ソルバッケンが、移籍期間満了に伴い退団することが発表されていた。

 シーズン途中にもかかわらず主力級の4選手がチームを離れることを受けて、堀之内SDは「4選手それぞれが、ファン・サポーターのみなさまから殊更に多くのご期待、ご声援をいただいていた選手であったことに加え、シーズン途中でキャプテンおよび副キャプテンが離脱したという事実を重く受け止めております」と正直な心境を明かす。その上で、「スポーツダイレクターという、チームの編成責任を負う立場にある私が、個別移籍事案の背景をご説明することの是非についてはさまざまなご意見もあろうかと思いますが、事案の重大性に鑑み、守秘義務との兼ね合いから多くの情報を開示することは叶いませんが、今般の経緯を以下にご説明させていただきます」として、4選手それぞれについて、今回の移籍に至った背景を次のような言葉で説明した。

▼酒井宏樹
「2021年6月に、リーグ・アン(フランス1部)のオリンピック・マルセイユから完全移籍で浦和レッズに加入してくれました。当時、浦和レッズへの加入理由を『浦和レッズにはマルセイユのような特別なファン・サポーターがいて、僕に緊張感や責任感を与えてくれる』と語っていた通り、ピッチの内外を問わず自らとチームに対して良い緊張感を与え、そして情熱と責任感あふれるプレーを見せてくれました」

「今回の移籍に向けた離脱については、重要な戦力であるという理由から慰留に努めましたが、『もう一度海外でプレーしたい』という本人の強い意向や、ヨーロッパを含め多くの選択肢がある中、トップフォームで浦和レッズに加入してくれたことへの感謝、これまでのチームへの貢献、そして経済面を含めたチーム全体の編成を熟考したうえで、苦渋の決断ではありましたが本人の意向を尊重することといたしました」

▼アレクサンダー・ショルツ
「2021年5月に、デンマーク・スーペルリーガ(デンマーク1部)のFCミッティランから完全移籍で浦和レッズに加入してくれました。日本に限らず、これまでの経歴においても、異文化へのチャレンジを積極的に行う人間性は多くのファン・サポーターのみなさまがご承知のことと思いますが、選手やチームスタッフ、クラブスタッフは勿論のこと、ファン・サポーターのみなさまやメディアのみなさまなど、全ての人に対して分け隔てなく接する素晴らしい人間性とピッチ上で見せる高い技術と戦術眼、そして強いウィニングスピリッツでチームに大きく貢献してくれました」

「今回の移籍に向けた離脱については、本人の異文化へのチャレンジ欲求を理解しつつも、余人をもって代えがたい不可欠な存在であるという理由から強く慰留に努めましたが、浦和レッズというクラブが現在持ち得ている全ての力をもってしても阻止することはできませんでした」

「契約期間中の移籍に際しては移籍金が発生しますが、その設定金額は選手自身の価値であると同時に、選手によるクラブへの評価を表すものでもあります。私たち浦和レッズは、今回のような移籍を回避できるクラブ、即ち経済力やブランド力等で世界と伍して闘うことのできるクラブになっていかなければならないという思いを改めて強く抱いております」