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初めてChatGPTを使ったときの驚きも今はむかし。すっかり慣れてきてしまった今日このごろ。

AIがいたるところに進出してはいるものの、AIが結局なんなのか、どんな技術なのかはいまひとつわかっていません。マルチモーダルとか、ディープラーニングとかマシンラーニングとか、よく耳にする言葉はあるんですけどね。

AI開発に欠かせないという「マシンラーニング」ってなんですか? 「ディープラーニング」ってなんですか?

そもそもAIってなんですか?

AI。Artificial Inteligenceの頭文字をとったもので、日本語では人工知能のこと。いつの日か、マシン自身が「考える」ことができるようになるのが、開発ゴールです。

技術って、ロボットってすごいなと思いますが、1番すごいのは我々人間。私たちの脳は巨大な装置であり、現在のマシン(コンピュータ)の能力をはるかにこえた計算を日常的に行なうことだってできるのですから。

AIソフトウェアの開発者たちは、いつの日か、AIがそんなすごい人間と同じように知識をもち、人間と同じように思考することができるようにと切磋琢磨しています。

昨今、AIが大部分で行なっているのはアルゴリズムを用いて次を予測すること。簡単な例でいうと、最近ユーザーが聞いた曲をもとに好きそうな曲を次にオススメしてくれたり、先週のお買い物リストをもとに似たような商品を提示してくれたり。

ただ、AI専門家は、もっと複雑な思考や決断も、将来的にはAIで可能だと考えています。

そこで登場するのが、マシンラーニング(ML)とディープラーニング(DL)です。

マシンラーニング(機械学習)とは

ML、Machine Learning=マシンラーニング・機械学習。人工知能分野における大きなカテゴリであり、ソフトウェアプログラムが予測や決断をどう行うべきかを学習させることです。

IBMのエンジニア、Jeff Crumeさんはマシンラーニングを「統計解析の非常に洗練された形である」と称しています。Crumeさんいわく、「この解析によってデータから予想や決断を行なうことができる」「システムに取り入れる情報が多ければ多いほど、より正確な予想ができるようになる」といいます。

特定のタスクを行なうよう開発された一般的なプログラミングとは異なり、マシンラーニングはデータのパターンを認識できるアルゴリズムをトレーニングするのが目的になっています。

ディープラーニング(深層学習)とは

コンピューター科学開発会議で紹介されたスライド

DL、Deep Learning=ディープラーニング・深層学習。ディープラーニングはマシンラーニングの一種。マシンラーニングのサブカテゴリであり、AIに「思考」を教えることです。

アルゴリズムが与えられた仕事の大部分を行なえるようにする点がほかのマシンラーニングと異なっています。人工のニューラルネットワーク(人間の脳が行なう決断・パターン認識の処理を模した数学モデル)によって動いています。

何がちがうの?

一般的なマシンラーニングとディープラーニングの、もっとも大きなちがいは学習時に人間がサポートするか否かです。マシンラーニングは学習に際して人間が学習データを整理したりする必要がありますが、ディープラーニングではその必要がなく学習時の人的作業を節約できます。

比較的シンプルなマシンラーニングの場合、人間がその学習プロセスを管理、サポートします。マシンラーニングは膨大な量のトレーニングデータによって支えられていますが、一般的に、それらのデータは人間が収集し、整理します。人間がデータをソーティングしたり、ラベル付けしてあげたり、ですね。

たとえば、会社Aが画像から車の車種を認識するアルゴリズムを作るとします。そのトレーニングには、当然たくさんの車の画像が使われるのですが、それらの画像は、人間の手によって車種ラベルをつけていきます。トレーニングした後は、その答えが正しいかどうかを確かめるため、テスト用データセットも必要になります。

一方、ディープラーニングはそういったサポートを必要としません。アルゴリズム自身のニューラルネットワークを使い、ラベルつけや整理整頓がされていない素のデータのパターンを認識していきます。企業は、こうしたディープラーニングを導入することで、自動化されたアルゴリズムを用いて、未整理データを大量に振り分けることができ、結果、多くの人的作業を節約することができます。

ニューラルネットワークの仕組み

人工ニューラルネットワークは人間の脳の仕組みを模したものであり、何千何百という「ノード」が詰め込まれています。ノードが何かというのは少々複雑な話のようですが、人間でいうところのニューロン(神経細胞)であり、情報の伝達と処理が主なお仕事です。

ニューラルネットワークでは、ノードが層として配置されいます。ノードでできた複数の層によってディープラーニングのネットワークは成り立っています。で、情報がこのネットワーク内を飛び交いちがいに作用することが、マシンの処理、つまり予測や決断に影響するというわけ。

ノードの次に鍵となるのは、重み(ウェイト)。これは、「取り込まれる情報の重要性」を数値で表したもの。入力されたデータにノードが重みをつけ、この重みの値によって、次の層へ情報をパスしたりしなかったりします。

つまり、ニューラルネットワークというものは、入力されたデータについて、外部サポートなしでもアルゴリズム自身で結論を出せるような構造になっているということ。このプラグラムをベースとして、アルゴリズムは膨大なデータのつながりを認識し、人間のように答えを導き出すことができるのです。

なぜ、AI開発にはマシンラーニングが必要不可欠なのか

マシンラーンングの存在によって、かつては人間だけが可能であった物事を理解し、次を予想するという動きがマシンでも可能になります。

たくさんの不可能を可能するもので、医療分野の発展などで大きな期待が寄せられています。と同時に、国防やプライバシーにおいて不安視する声もあります。

AIが善であろうと悪であろうと、世界中で大きな影響を与えることはまちがいありません。