特に複数のクラウドを使用している場合、コストを管理するのは難しいもの。「大口の契約を受注できたのにクラウドのコストも膨れ上がってしまい、結局トータルではプラスなのかどうかよく分からない」なんてことが発生しないようにコストをあらゆる側面から管理できるようにするためのツールが「Dashdive」です。

Dashdive | Cloud Cost Observability

https://www.dashdive.com/

公式サイト右上の「Sign In」をクリック。



新規登録するので「Sign up」をクリックします。



メールアドレスとパスワードを入力し、「CONTINUE」をクリック。



メールで6桁の認証コードが送信されてきます。



サイトに認証コードを入力すると登録完了です。



ただし、記事作成時点では顧客1人1人が登録するごとにDashdiveの内部チームが人力で作業する必要があるとのことで、すぐに使用できるようにはなりませんでした。



Dashdiveの仕組みは下図の通り。サービスからクラウドを使用するたびにそのデータをDashdiveのサーバーに送信することで、Dashdiveがデータを保存・分析して見やすく表示してくれるようになります。記事作成時点ではストレージサービスのみ対応で、使用データを送信するためのコードをサービスに組み込む必要がありますが、将来的にはコンピューティングサービスに対応したりエージェントを使用してデータを自動収集できるようにしたりする計画があるとのこと。



実際に使用してみることはできませんでしたが、ダッシュボードのデモが用意されているのでデモデータを利用して分析を行ってみます。ダッシュボードにアクセスすると下図のように表示されます。左上に2023年12月のデータであることが表示されており、この期間内のトータルコストは約1万ドル(約149万円)です。下にはグラフがあり費用が増加傾向であることが一目で確認可能。「Summary Settings」をクリックしてみます。



「Summary Settings」画面では真ん中に表示するデータを編集できるとのこと。先月のデータとの比較を有効化し、「Apply」をクリックします。



オレンジ色で先月からの変化量が表示されました。3.3%費用が増加しており、純額だと315.57ドルとのこと。



右上の「Break Down By」の項目にある矢印マークをクリックするとさまざまなタグで内訳表示を行う事ができます。「Usage Type」をクリックしてみます。



用途ごとの変化量の内訳が表示されました。「Data Egress(外部へのデータ転送)」の費用が増加していることが分かります。



項目にチェックを付けることでその項目だけのグラフを出力することも可能です。



転送料金の詳細を調べてみます。ダッシュボード左上の「Filters」をクリックし、「Usage Type」の「Data Egress」を選択して「Apply」をクリック。これでUsage TypeにData Egressが設定されているデータだけが集計の対象になりました。



Break Down Byで「Customer ID」を選択します。



かかった転送料金がユーザーごとに分類されて出力されました。「McDonald's」というユーザーがかなりの量のデータを転送していることが分かります。



グラフにしてみると一目瞭然です。



続いてフィルターを「Historical Storage(累積ストレージ使用量)」に変更しました。



「Nordstorm」というユーザーのストレージ使用量が急激に増加していることが分かります。



というわけで、Nordstormのデータを詳しく調べます。フィルターを開いて「Customer ID」の「Nordstorm」をクリックし、「Apply」をクリック。



Nordstormの累積ストレージ使用量のデータだけが表示されるようになったので、Break Down Byでさまざまな指標をチェックしていきます。まずは「Feature ID」をクリック。



全体的に増加傾向ですが、はっきりとした原因は見つかりません。



さまざまな指標のうち、「Device ID」を表示すると明らかにおかしいデータが出現しました。1つのデバイスの使用量が先月比で12万3250%増加しています。



FilterのDevice IDで当該デバイスのIDを入力してApplyをクリックし、さらに詳細を見ていきます。



内訳表示を「Object Key」にすると小さいオブジェクトが大量に生成されてしまっていることが判明しました。



グラフで確認すると12月15日の午後までは無事だったことが分かり、原因は12月16日の午前中に行った変更だと分析できました。



今回は使用量の統計をドルで表示していましたが、APIリクエスト数や転送量、累積ストレージ使用量などで表示することも可能です。



例えば統計タイプを累積ストレージ使用量に設定し、内訳表示をユーザーごとに設定することでそれぞれのユーザーごとの累積ストレージ使用量を一発で出力することが可能。使用量に応じて請求する契約の場合このデータを利用できます。



記事作成時点では合計クラウド料金が1万ドル(約149万円)以下のユーザーは月額80ドル(約1万2000円)の「Developer」プランで一括対応となっており、クラウドの料金が1万ドル(約149万円)を超える場合はエンタープライズプランでの対応となっていました。