VR上で恐竜たちが戦っているシーン

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XR(クロスリアリティー)・メタバースに携わる事業者やクリエイターが一堂に会する展示会が、2024年1月26日〜28日に東京ビッグサイトで行われた。「TOKYO XR・メタバース&コンテンツビジネスワールド」だ。

XRとは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称だ。イベントでは、VRゴーグルを装着して仮想世界を楽しむだけにとどまらず、体全体を動かして「宇宙体験」をしたり、吹いてくる風を感じたりと「リアル」を体感できるブースを取材した。

宇宙服のグローブをつけVR体験

まず訪れたのは、amulapo(東京都新宿区)のブース。同社はXRなどによる「宇宙体験コンテンツ」制作を手掛ける。ブースでは実際に、無重力や大気圏突入の様子をVR上で体験し、宇宙食を試食できるという。

記者はまず、リクライニングチェアに座り、VRゴーグル、そして実際に宇宙服で使用されているグローブを装着した。グローブには、コントローラーが付いている。これで動きを操作するのだ。

VR上では、自分が宇宙服を着用し、宇宙から地球を見下ろしている様子を体験できた。一方、グローブが思った以上に重い。近くにあった障害物に当たったりすると、ラグがあるのか時間差で障害物が動く。

次は、宇宙食の鮭おにぎりを食べた。これは「現実世界」の話。つまり本当に味わった。

「星空舞 Omusubi Star」と書かれた小袋にお湯か水を注ぐと、中に入っているコメが膨らみ、自動的に三角になる宇宙食おにぎりだ。15分待てば完成だというが...。

記者が水を少し多く入れてしまったせいか、三角というより、上の部分が丸まっている。それでもご飯にコシがあり、おいしい。コンビニやスーパーで売っている鮭おにぎりと変わらないと感じた。

amulapo取締役・松広航さんによると、「星空舞 Omusubi Star」は、鳥取のブランド米「星空舞」を使用し、同社が製造した宇宙食だという。今後は、震災時の保存食としても活用していきたいと話していた。

生足でVR空間を歩くことができる

EG(東京都中野区)のブースは人気が高く、行列ができていた。並びながらのぞいてみると、変わった形のマシンが置いてある。「KATVR」という装置だ。

円盤状の板の上を、VRゴーグルを被りながら自分の足で動く。すると、足がコントローラーの役割をする。

順番が回ってきたので、靴を脱いで円盤の上に立つと、スタッフが後ろから固定ベルトを腰に着けてくれた。その状態でVRゴーグルをかぶる。今回体験したコンテンツは、「スケートレース」だ。足が滑る動きに合わせスピードが増す。VR上では、途中で障害物が出てくるので、しゃがんだりしながら滑り続けなければならない。

後ろにあるモニターでは、実際に滑っている様子が映る。

滑りだすと序盤から2位。今までにないくらい必死に足を滑らす。このまま1位でゴールしたいところ...。障害物を必死にかわしながら進んだが、惜しくも2位だった。

体験後にEG代表取締役・柳澤匠輝さんを取材した。手でコントローラーを操作しない「KATVR」は、生足でVR空間を歩けることがセールスポイントだと話す。足で動いて移動することから、「VR酔い」も軽減されると説明した。VRのコンテンツによっては、体を大いに動かしてフィットネス効果が期待できそうだ。

本当に恐竜の世界にいるような雰囲気を味わえる

最後に向かったのは、ハシラス(東京都北区)のブース。ここでは、「キックウェイ」という機械でVRの世界を体感できる。足元にある四角い台の上に立った状態で乗り、自転車のハンドルのようなバーを両手で握る。VRゴーグルを装着し、映像に合わせて台座の部分が、前後左右に動く仕組みだ。体全体で、動きを感じられる。

記者が体験したのは、恐竜パークで大冒険ができる「ダイノ・キックウェイ」だ。

映像が流れ、動き出す。実際に風が吹き、本当に恐竜の世界にいるような雰囲気を味わえる。恐竜が襲ってくるシーンでは、キックウェイが激しく動いた。まさに、乗り物で急いで逃げているかのような気分に。

VR上で見る恐竜はかなり大きい。今にも食べられてしまいそうで怖く感じたが、とても貴重な体験ができた。

ハシラス広報によると、一般の人にも、VRやXRを知ってもらうために「オープンデー」を設けている。実際にハシラスの社内で、設備の紹介やVRデモ体験などを行うとのことだ。