イスラエルによるガザ地区への攻撃が続く中、イスラエルやアメリカなどの国々ではイスラエルに否定的な意見を発した人物が解雇される事態が発生しています。そんな中、イスラエルに拠点を置くテクノロジー企業「Wix」を解雇されたアイルランド人の元従業員がアイルランドの労働局に不当解雇を申し立てたことが明らかになりました。さらに、Wixがハマスに関係すると思われるウェブサイトの削除を進めていることも報じられています。

Wix employee sacked over criticism of Israel files unfair dismissal claim - The Irish Times

https://www.irishtimes.com/business/work/2024/01/08/wix-employee-sacked-over-criticism-of-israel-files-unfair-dismissal-claim/



労働局に不当解雇を申し立てたのは、Wixの従業員として働いていたコートニー・キャリー氏です。キャリー氏はLinkedInに「イスラエルはガザ地区への食糧や水、電力の供給を遮断している」「発生している暴力の根本的な原因はパレスチナ人のイデオロギーを否定するシオニストのイデオロギーだ」といった投稿を書き込んでおり、それらの投稿が原因でWixを解雇されることとなりました。

キャリー氏の解雇を決定したのはWixの関係者ですが、キャリー氏の解雇には他の背景も存在しています。チャットアプリ「WhatsApp」上にはイスラエルやアメリカの有力人物が数多く参加するグループチャットが形成されており、そのグループチャット内で「チャット参加者がキャリー氏の投稿のスクリーンショットを示しつつ『彼女はWixで働いている』とコメントしたところ、約40分後にWixのイスラエル担当ゼネラルマネージャーであるバトシェバ・モシェ氏が『私たちはその投稿を認識しており、すでに対応を開始している』とコメントした」という一幕があったことが確認されています。



Wixから解雇されたキャリー氏はアイルランドの労働局「Workplace Relations Commission(WRC)」に対して「イスラエルに対して否定的な発言をしたことを理由に、正当な手続きを経ることなく不当に解雇された」と申し立てました。記事作成時点ではキャリー氏の申し立ては審議中ですが、キャリー氏は代理人を通じて「裁定日を楽しみにしている」とコメントしています。

アイルランドの新聞「The Irish Times」によると、Wixは反イスラエル的な従業員を解雇しているだけでなく、ハマスを支持するウェブサイトの削除も進めているとのこと。The Irish Timesが入手したWixの内部チャットからは、Wixが「パレスチナの国旗を含む画像などを含むウェブサイト」を「ハマスとつながりを持つ可能性のあるウェブサイト」とみなしていることが明らかになっています。ただし、同チャットには「パレスチナ人への食糧支援や寄付を目的としたウェブサイトは削除されるべきではない」という会話記録も残っていたそうです。